自社ECサイトに集客するための広告戦略について、「どの広告手法を選べばいいのか分からない」「自社の規模やフェーズに合わせて効果的に運用する方法が知りたい」と悩んでいませんか。
広告にはさまざまな種類があり、それぞれに予算や運用スキルが必要となるため、何から始めればいいか迷ってしまう方も多いでしょう。
本記事では、ECサイトでWEB広告を活用する際のメリット・デメリットをはじめ、代表的な広告手法とその特徴を解説します。
短期から中長期までの視点を織り交ぜながら、どのように施策を選び効果検証を行えばいいのかも紹介しています。
会社の規模や成長段階に応じて選択肢が変わるポイントも取り上げるため、初心者の方でも自社に合った戦略を立案するきっかけをつかめるはずです。
自社ECサイトの広告戦略にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

ECサイトでWEB広告を活用するメリット・デメリット

ECサイトへの集客方法は多岐にわたりますが、その中でもWEB広告は短期間でユーザーを呼び込める手段として人気があります。
ただし、メリットとデメリットを正しく理解していないと、思わぬところで効果が伸び悩んだり、予算を無駄にしてしまったりするリスクがあります。
まずは全体的なメリットデメリットを解説していきます。
メリット
まずは、ECサイトでWEB広告をするメリットを3つ紹介します。
- 即効性があり、すぐに成果が期待できる
- ターゲットを細かく絞って訴求できる
- 運用の柔軟性が高く、効果測定も明確
即効性があり、すぐに成果が期待できる
広告は出稿するとほぼ即座に掲載が開始されるため、検索エンジン経由やSNSなどから短期間でアクセス増が見込めます。
キャンペーン時など、急激な集客が必要な場面で特に頼りになるでしょう。
ターゲットを細かく絞って訴求できる
キーワードやユーザー属性を指定することで、興味や購買意欲が高い層にだけピンポイントでアプローチすることも可能です。
無駄を減らし、費用対効果を高める運用が期待できます。
運用の柔軟性が高く、効果測定も明確
入札額や広告の配信スケジュールなどが細かく調整できるため、コスト管理がしやすい点が特徴です。
クリック数やコンバージョン数などデータを取得しやすいため、数字を見ながら改善できるのも大きな利点です。
デメリット
続いて、ECサイトでWEB広告をするデメリットを3つ紹介します。
- 広告費がかかり続ける
- 専門的な運用スキルが求められる
- 出稿をやめると成果が途切れやすい
広告費がかかり続ける
出稿を停止すれば流入も止まるため、常に一定の予算が必要です。
売上が伸び悩んでいる時期でも広告費は発生するので、費用対効果の管理が重要となります。
専門的な運用スキルが求められる
キーワード選定や入札額の最適化、SNSではクリエイティブの工夫など、ある程度のマーケティング知識と分析力がないと十分な効果を出せません。
外部の代理店に委託する場合も含め、誰がどのように運用するのか事前に決めておく必要があります。
出稿をやめると成果が途切れやすい
広告経由の集客は即効性が高い反面、出稿を取りやめると集客が一気に減少してしまいます。
長期的に集客を安定させるには、他の施策(SEOやリピーター育成など)との併用や計画的な広告運用が欠かせません。
自社ECサイトで活用できる代表的な広告手法

ここからは、ECサイトが活用しやすい代表的なWEB広告の種類を解説します。
- リスティング広告
- ディスプレイ広告
- リマーケティング広告
- SNS広告
- アフィリエイト広告
- 記事広告
- 動画広告
各手法で狙える効果や難易度は異なるため、会社の規模やフェーズに合わせてどれが最適か判断する際のヒントにしてください。
リスティング広告(検索連動型広告)
リスティング広告は、GoogleやYahoo!などの検索エンジンにおいて、ユーザーが入力した検索キーワードに連動して表示されるテキスト広告です。
検索意図が明確なユーザーにアプローチできるため、コンバージョン(購入)につながりやすいのが特徴です。
メリット
- 購入意欲が高いユーザーに直接リーチしやすい
- 出稿開始直後からアクセス増が期待でき、短期的に売上アップを狙える
- キーワードごとに入札額と予算が管理できるため、細かい費用対効果の調整が可能
デメリット
- キーワードによっては競合が多く、クリック単価が高騰しやすい
- 広告費を削減するとすぐに流入が減るため、集客が不安定になりがち
- ある程度の運用知識(適切なキーワード選定や広告文作成)がないと成果が出にくい
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
小~中規模ECでも比較的始めやすい方法ですが、効果を出すには継続的なキーワードの見直しと運用が必要です。
実店舗を持つ企業やリピート購入が多い商材などの場合には、リスティング経由で顧客を獲得した後に、メルマガや会員プログラムでリピートを促すと費用対効果が高まります。
ディスプレイ広告
ディスプレイ広告は、ニュースサイトやブログ、アプリなどの広告枠に画像やテキスト、動画などを表示する形式の広告です。
バナー広告としてよく目にするものがディスプレイ広告の代表例になります。
メリット
- 商品画像やデザインを活かしてビジュアル訴求ができる
- 潜在顧客層にもアプローチできるため、新規ユーザー開拓にも有効
- 幅広いユーザーへブランド認知を高める用途として使いやすい
デメリット
- クリック率は検索広告より低めで、直接の売上にはつながりにくい
- ターゲティング精度を上げないと無駄なインプレッションやクリックが発生する
- バナーや動画を制作するためのクリエイティブリソースが必要
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
大規模なECサイトや幅広い商材を扱う企業の場合、ディスプレイ広告で認知度を上げておき、購入意欲が高まったタイミングで検索やリターゲティング広告に誘導する流れが効果的です。
中小規模のECサイトでも、ビジュアルが魅力的な商材の場合に有効活用しやすいですが、配信先の最適化やABテストをこまめに行わないと、コストがかさむ可能性があります。
リマーケティング広告(リターゲティング広告)
リターゲティング広告は、一度ECサイトを訪れたユーザーに対し、再度広告を配信して訪問や購入を促す手法で、ディスプレイ広告の1つです。
カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して再アピールする際などに特に効果を発揮します。
メリット
- 既にサイトへ訪問しているユーザーへ配信するため、成約率が高い
- 動的リターゲティングなら、閲覧した商品を自動で広告に反映できる
- 比較的少ない予算でも、高い投資対効果を得やすい
デメリット
- まったく新規のユーザー獲得には向かない
- 短期間に同じ広告が何度も表示されるとユーザーに不快感を与える可能性がある
- サイト訪問者がそもそも少ない場合はターゲット母数が足りず、大きな効果を期待しにくい
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
ある程度の集客基盤が整ってきた中規模以上のECで特に有効です。
訪問者データをもとに、サイト離脱ユーザーへ再訴求することで取りこぼしを減らせます。
スタートアップのECでも、広告予算が限られている場合にはリスティング広告とリターゲティング広告を中心に運用すると効率的に売上を伸ばせるケースがあります。
SNS広告(ソーシャルメディア広告)
SNS広告は、FacebookやInstagram、X(旧Twitter)、TikTokなどのタイムライン上やストーリーズ内に表示される広告です。
ユーザー属性や興味関心を細かく設定できるため、自社商品と相性が良い層に限定配信しやすい点がメリットです。
メリット
- ユーザーの属性、興味関心を細かく絞った配信が可能
- ビジュアルや動画による印象的な訴求がしやすい
- フォロワー獲得やシェアなど、拡散やコミュニケーションが狙える
デメリット
- 購買目的でSNSを使っている人は少ないため、直接の売上にはつながりにくい
- クリエイティブの質が低いと広告がスルーされやすい
- 炎上リスクやネガティブコメントへの対処なども考慮が必要
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
ファッションやコスメ、インテリアなど、ビジュアルで魅力が伝わりやすい商材はSNS広告との相性が良好です。
特に小〜中規模ECが認知度アップを図る際には手軽に始めやすい手段ですが、直接的な売上効果だけでなく、フォロワー獲得やキャンペーン施策など、中期的なブランディング目的も組み合わせて運用すると効果を実感しやすいでしょう。
アフィリエイト広告
アフィリエイト広告は、他サイトの運営者(アフィリエイター)が商品を紹介し、成果(購入など)が発生した際に報酬を支払う成果報酬型の広告です。
既存顧客が少ない段階でも多くのアフィリエイターにPRしてもらえる可能性があるため、知名度アップの一手として利用できます。
メリット
- 実際の成果に応じた報酬型のため、無駄な広告費が発生しにくい
- 自社ではリーチできないユーザー層への露出拡大が期待できる
- 第三者からの推薦に近い形で商品が紹介されるので、ユーザーへの信頼感を得やすい
デメリット
- 利益率が下がる場合がある
- アフィリエイター任せの面が大きく、ブランドコントロールが難しい
- 軌道に乗るまでにある程度魅力的な報酬設定やコンテンツ提供が必要
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
スタートアップや小規模ECで、広告予算を一気にかけられない場合に検討しやすい手法です。
大規模ECでも多くのアフィリエイターを獲得できれば大きな売上増が期待できますが、商品ジャンルや報酬の設定次第ではアフィリエイターが集まらない可能性があります。
自社商材の魅力や競合との差別化要素をしっかりアピールして参加を促すことが大切です。
ネイティブ広告(記事広告)
ネイティブ広告は、メディアのコンテンツと一体化した形式の広告です。
一見、普通の記事やSNS投稿と区別が付きにくいため、広告に対する抵抗感が少ない反面、コンテンツ制作に工夫が必要です。
メリット
- ユーザーがコンテンツを読む流れのまま商品情報を伝えやすい
- 媒体の信頼度を活かせるため、自社商品への好印象につながりやすい
- 記事としてのストーリー性を持たせれば、口コミや拡散も期待できる
デメリット
- 制作コストが高く、専門ライターや編集者の力が必要になる
- ユーザーに読まれない(興味を持たれない)とまったく効果が出ない
- 広告色が強すぎると逆効果になり、信頼を失う可能性がある
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
単価が高く、商品の背景やストーリーをしっかり伝えたい場合に向いています。
ブランドイメージを重視する中〜大規模ECで、コンテンツマーケティングの一環として取り組むケースが多いです。
記事制作やメディア選定に時間とコストをかけられるかどうかも検討材料になります。
動画広告
動画広告は、YouTubeやSNSの動画プラットフォームで配信される広告です。
映像と音声によって商品の魅力を訴求できる一方で、制作コストやユーザーへのアプローチ手法がやや複雑となります。
メリット
- 視覚と聴覚に訴求できるため、商品やブランドの魅力を強く印象付けられる
- ストーリー仕立てでユーザーの感情に訴えかけやすい
- SNSなどでバズが起これば大きな拡散効果も見込める
デメリット
- 撮影や編集など制作負担が大きく、費用がかかる
- 再生開始後すぐにスキップされるリスクがあり、最後まで見てもらえない可能性が高い
- 効果測定が難しく、売上への直接的な因果関係が把握しにくい
活用のポイント(会社の規模やフェーズ)
映像で訴求できる新商品や独自技術、ストーリー性があるサービスを扱う場合に大きな効果があります。
大規模予算を投下できる企業ほど有利ですが、小規模ECでも短尺動画をSNS上で出稿するなど、アイデア次第では十分に活用可能です。
ただし、編集作業や定期的なクリエイティブ刷新などを念頭に置いておきましょう。
自社ECサイトに最適な広告手法を選ぶポイント

広告手法は多岐にわたるため、何を優先して取り組むべきか悩む方も多いです。
ここからは目的や運用体制、企業の成長フェーズを踏まえた選び方のポイントを4点解説していきます。
- 広告の目的・ゴールを明確にする
- ターゲット層や商品特性に合わせて選ぶ
- 予算規模と運用リソースを考慮する
- 短期・中期・長期の視点で施策を整理する
それぞれ順番に解説していきます。
広告の目的・ゴールを明確にする
売上拡大、認知度向上、新規顧客獲得、既存顧客のリピート促進など、広告を行う理由が何なのかをはっきりさせます。
例えば、認知度アップが狙いならディスプレイ広告やSNS広告、短期的な売上重視ならリスティング広告やリターゲティング広告を優先しやすいでしょう。
目標とする指標(売上金額、CPA、ROASなど)も最初に設定し、効果測定の軸を明確にしておきます。
ターゲット層や商品特性に合わせて選ぶ
商材が高額か低額か、購入までに時間がかかるか即決されるのか、若年層向けなのかビジネス層向けなのかといった要素で、相性の良い広告手法が変わります。
写真や動画で商品イメージが伝わりやすいならSNS広告や動画広告が向いていますし、顕在ニーズがはっきりある分野ならリスティング広告の効果が高いなど、商品やターゲットと広告の性質をすり合わせましょう。
予算規模と運用リソースを考慮する
予算が潤沢な場合は複数の広告手法を同時にテストし、効果が高いものへ集中投下していく運用が可能です。
一方、予算が限られている場合は効果が確認しやすく、売上直結型のリスティング広告やリターゲティング広告から始めるのがおすすめです。
また、代理店に任せるのか、社内に担当者を配置するのかといったリソース面も含めて検討することが大切です。
専門知識が不足している場合は、外部パートナーを活用するほうが無駄を減らせるかもしれません。
短期・中期・長期の視点で施策を整理する
短期的に成果を出すには即効性のあるリスティング広告やリターゲティング広告が有効です。
中期的にはSNS広告やアフィリエイトなど、認知度拡大やコミュニティ形成につなげる施策を重ねていくことで、継続的な流入が見込めます。
長期的には、広告に頼らなくても安定した集客ができるようSEOやコンテンツマーケティング、メルマガや会員プログラムなどと組み合わせていきましょう。
ECサイト全体の成長フェーズを見据え、無理のない範囲で段階的に広告手法を取り入れるのがおすすめです。
また、どの施策でも効果測定が必須になります。
クリックやコンバージョン数だけでなく、費用対効果を見ながら広告の停止や拡充を都度判断しましょう。
データ分析を定期的に行い、予算配分を適切に変更することで、限られたリソースを最大限に活かせます。
まとめ

自社ECサイトの集客には、検索広告・ディスプレイ広告・SNS広告など多様な手法を組み合わせて活用することが大切です。
短期で成果を出しやすいリスティング広告やリターゲティング広告、認知度向上を狙いやすいディスプレイ広告やSNS広告、さらには成果報酬型のアフィリエイトなど、それぞれの特徴を理解しながら使い分けることで効果を高められます。
会社の規模や商材、成長段階に合わせて焦点を絞り、短期・中期・長期の視点でバランスよく運用を行うと失敗を減らせるでしょう。
定期的な効果測定と検証を続けることで、最小限の予算でも最大限の成果につなげることが期待できます。
