Amazonブランド登録とは、商標登録のある商品のみが登録できるAmazonの出品ツールです。Amazonブランド登録を利用することで自社商品の商標を守り、転売やコピー品の出品からブランド保護が可能となります。
このページではAmazonブランド登録のメリット・デメリットから登録の条件、やり方までまとめて解説します。Amazonブランド登録を活用して、自社の大切な商品やブランドの権利を守りつつ、収益アップに役立てていきましょう。
Amazonブランド登録のメリット
Amazonブランド登録に自社ブランドを登録すると、以下のようなメリットがあります。
- ブランド保護に役立つ
- Amazon広告の幅が広がる
- Amazonストアを作成できる
- ブランド分析機能「Amazon Brand Analytics」を利用できる
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
ブランド保護に役立つ
2022年6月に公開されたAmazonニュースによると、ブランドオーナーやAmazonストア(ブランド独自のランディングページ)を悪質業者から守るために、Amazonは9億ドル以上の投資を行っているとのこと。その投資によって構築された、悪質業者による模倣品や詐欺から守るための取り組みの1つがAmazonブランド登録なのです。
Amazonブランド登録にブランドを登録すると、例えば転売出品されたり、模倣品を出品されたりしたときに取り下げの主張をすることに役立ちますし、ブランド登録者として権利の優位な主張が可能となります。
Amazon広告の幅が広がる
Amazon広告では、Amazonスポンサープロダクト広告がよく見られますが、Amazonブランド登録をしていると、スポンサーブランド広告とスポンサーディスプレイ広告を利用できるようになります。
スポンサーブランド広告とスポンサーディスプレイ広告は、ブランド登録していないと利用できませんので、差別化にも有効です。
Amazonストアを作成できる
Amazonは出店型ではなく出品型でのショップ運営となるため、ブランディングが難しい点がデメリットですが、Amazonブランド登録をすると「Amazonストア」という以下のようなブランド独自のランディングページを作成できるようになります。
このページは、Amazonの商品詳細ページで、商品名のすぐ下に表示されている「◯◯のストアを表示」の青文字部分をクリックすると表示されます。
ブランド分析機能「Amazon Brand Analytics」を利用できる
Amazonブランド登録にブランドを登録していると、「Amazon Brand Analytics」という以下のようなレポートが見られる分析ツールを利用できます。
レポート | レポート内容 |
---|---|
Amazon検索用語レポート | 検索で多く使われている関連キーワードや、検索からクリックされた上位の商品を確認できる。 |
商品比較レポート | 自社商品を閲覧したユーザーが併せてチェックした商品の中で、閲覧頻度の高かった商品を確認できる。 |
代替購入レポート | 自社商品と他社商品を比較して、他社商品が購入された場合に、購入頻度の高かった商品を確認できる。 |
マーケットバスケット分析レポート | 自社商品と合わせ買いされた頻度の高い商品をチェックできる。 |
リピート購入行動レポート | 特定の期間中に自社商品をリピート買いしたユーザーの割合をチェックできる。 |
「Amazon Brand Analytics」はセラーセントラルのレポートタブより確認が可能で、Amazonでの集客改善や収益アップにも活用できます。
Amazonで自社商品を販売する際は、ブランド保護についてもしっかりと対策しておきたいところです。
Amazonでの自社商品の販売や、Amazonブランド登録に関する手続きでのお困りごとは、Amazon提携のECサイト運営代行会社にお問い合わせください。ECサイト運営のプロフェッショナルが貴社のブランド保護を含め、販売促進のお手伝いをさせていただきます。
Amazonブランド登録のデメリット
Amazonブランド登録には複数のメリットがありますが、デメリットもあります。それは商標登録がないと利用できないことです。
かつては商標登録なしでもAmazonブランド登録が可能だったのですが、現在では商標登録が必須となっています。
通常の商標登録は特許庁に出願後、半年から1年以上といった長期間の手続きを経ることとなりますが、「早期審査制度」を利用することで、2~4ヶ月に短縮することも可能です。ただし、早期審査制度を利用する場合は、権利の範囲が狭くなったり「早期審査に関する事情説明書」が必要になるといったデメリットも。
ブランド登録の前に商標登録をクリアしなければならないのは、大きなデメリットでしょう。
Amazonブランド登録の条件
Amazonブランド登録には商標登録が必須ですが、ほかにも準備が必要なものがあります。
- 商標登録証に記載されている登録番号
- ブランド登録する商品(パッケージに商標名が表示されているもの)
- Amazon brand registryのアカウント
Amazonブランド登録に必要な商標は、以下の2種類あります。
- 文字商標
- 語句、文字または数字を含む図形商標
商標登録の登録番号と商品の準備を整えたら、Amazonブランド登録をするための「Amazon brand registryアカウント」を作成しましょう。
Amazon brand registryアカウントの作成方法
Amazon brand registryは、商標権利者が申請しなければなりません。商標権利者がAmazonブランド登録にブランドの登録を済ませた後であれば、代理人を追加ユーザーとして代理人用のアカウントを登録、代理人のサインインが可能となります。
Amazon brand registryのアカウントを作成する手順は、以下のとおりです。
ブランド登録ページにアクセスして[Brand Registryの開始]をクリックしてください。
次に表示されたAmazon brand registryのページで、[開始する]のボタンをクリック。
「登録するための3つのステップ」の画面で内容を確認しながら、画面を下にスクロールします。
画面下の[今すぐ登録する]ボタンをクリック。
ブランド登録先として各国の国旗が表示されるので、日本を選択。
Amazon brand registryのログイン画面で、①既存のAmazonアカウントか②Amazonアカウントを新規作成するか選択して進みます。既存のセラーアカウントがある場合は、アカウントを連携することで、ブランド登録によって利用できるレポートにもセラーセントラルからアクセス可能となります。
Amazonのブランド登録方法
Amazon brand registryのアカウント作成が完了すると、Amazon brand registryの管理画面に遷移します。
続いて、商品のブランド登録を進めていきましょう。
Amazonブランド登録の手順
Amazonブランド登録への登録は、以下の手順で行います。
- ブランドレジストリのトップページ左側に表示されている「新しいブランドを登録」の青文字をクリック
- ブランド登録に必要な情報が文章で表示される
- 必要な情報を揃えたら[ブランドの登録]ボタンをクリック
- 商標に関する情報入力
- 出品用アカウント情報を入力
- 流通とライセンス情報の入力
- [送信]で申請完了
- 申請後に、Amazonから申請があったことを通知するメールが届く
- 後日Amazonからブランド登録の申請について確認の連絡が入る
- 法人の場合は担当者宛のメールでAmazonから確認コードが通知される
- ブランド登録アプリケーションに確認コードを送信
- 商標に関する情報と、商標の所有者であることの確認が完了すると、ブランド登録の申請が承認される
この流れで、Amazonブランド登録が完了します。
上記手順のうち「4.商標に関する情報入力」「5.出品用アカウント情報を入力」「6.流通とライセンス情報の入力」の3ステップについては入力事項が複数あるため、以下にそれぞれ詳しく解説します。
4.商標に関する情報入力
商標に関する情報として入力するのは、以下の項目です。
項目 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
ブランド情報 | ・「申請するブランド名(商標名と完全一致で入力)」 ・「登録番号(商標登録証に記載されている登録番号)」をそれぞれ入力 ・登録商標機関は日本を選択 | ・ブランド名の大文字小文字、記号等の入力誤りに要注意 ・ブランド名登録後の変更は不可 ・登録番号は商標登録の出願番号ではない |
商品画像 | 商品やパッケージにブランド名・ロゴ等の識別マークが明確に表示されている画像を1枚以上 | ・ファイル形式は.jpg、.png、.gifのいずれか ・ファイルサイズは5MB以下 |
【任意】 公式ウェブサイト等のURL | ブランドの公式ウェブサイトがある場合やAmazon以外のECサイトで販売している場合のURL | 任意項目だがURL入力はAmazonがブランドを正確に特定するのに役立つ |
これらの情報を入力して、[次へ]で進みます。
ここで登録したブランド名がすでにAmazonに登録済となっていた場合は、画面上に「登録済となっているため申請承認ができない」といった内容が表示され、登録済のブランドオーナーに通知されることがあります。
商標登録されていない商品が登録された場合は、申請を続行できません。商標登録完了から48時間以内の場合も申請が続行できないことがあるので、その場合は時間を置いて再度登録しましょう。
5.出品用アカウント情報を入力
出品用アカウント情報は、商標の所有者であることを確認するための入力欄で、登録内容は以下のとおりです。
項目 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
出品者・ベンダーの選択 | セラーセントラル利用の出品者なら「出品者」を、ベンダーセントラル利用の出品者であれば「ベンダー」をそれぞれ選択 | ベンダーとはAmazonユーザーではなくAmazonに直接商品を販売する出品者のこと |
ブランドカテゴリー指定 | 登録するブランドに該当するカテゴリーをリストから選択 | – |
ブランド販売のカテゴリーで最も売れているASIN | Amazonで販売中のブランド商品があればそのサンプルのASINを入力 | ASINとはAmazon独自の商品識別コードのこと |
6.流通とライセンス情報の入力
流通とライセンス情報については、以下の項目を入力します。
項目 | 確認内容 |
---|---|
流通情報 | ・ブランド商品をほかの小売業者に販売しているか→「はい」か「いいえ」で回答 ・【任意】ブランド商品を販売している国の選択 |
ライセンス情報 | 自社の知的所有権に関連する商品を製造する他の事業者にブランドの商標ライセンスを供与しているか→「はい」か「いいえ」で回答 |
ここまで入力できたら、[送信]で申請完了です。
登録する商標が複数ある場合は、登録商標ごとに[ブランドの登録]ボタンをクリックして、ここまで解説した手順でそれぞれ登録が必要です。
Amazonブランド登録に関するよくある質問
Amazonブランド登録をするにあたって、よくある質問をまとめて紹介します。
Amazonブランド登録に関する問い合わせ先は?
Amazonブランド登録について分からないことがある場合は、Amazon brand registryのトップページ「ブランド登録へようこそ」として表示されている文章中にある「お問い合わせ」のリンクから担当に連絡できます。
Amazonブランド登録の費用は?
Amazonブランド登録に別途費用はかかりません。Amazonブランド登録によって利用できるようになるAmazonストアやレポートも、無料で利用できます。
ただし、Amazonブランド登録に必須の商標登録は時間がかかるだけでなく、手間や費用もかかります。
商標登録にはいくらかかる?
商標登録をする際は、特許庁への出願時に12,000円、審査に合格して商標登録する際には別途17,200円(5年分納付する場合)の合計29,200円がかかります。
商標登録は専門知識のない方には非常にハードルの高い出願作業が必要となるため、弁理士事務所に依頼するケースが多く、その場合は数万円から10万円以上の報酬が発生。弁理士への報酬は、依頼する事務所によって異なります。
弁理士に依頼せず、自分で商標登録の出願をする場合は弁理士への報酬は発生しませんが、書面で提出すると電子化手数料が1件の出願につき2,400円と、書面1枚あたり800円が加算される仕組みで、最低でも3,200円以上はかかります。ちなみに、電子化手数料の枚数は電子化後の枚数で算出されるので、提出の枚数とは異なる点にご注意ください。
→ 特許庁
Amazonブランド登録は商標なしではできない
Amazonブラランド登録に登録すると、Amazonでは難しいブランドのアピールを積極的に実施できるようになります。スポンサーブランド広告やスポンサーディスプレイ広告にも出稿可能です。
商標登録なしでAmazonブランド登録は利用できませんが、ブランド登録ができれば、ライバルの多いAmazonでの差別化にもなります。
自社ブランド品をアピールしてEC事業を伸ばすためには、ブランド保護も含め、Amazonブランド登録を検討したいですね。