「AOV」とは「平均客単価」のこと。マーケティング戦略を検討するにあたっては、AOVを把握するのはもちろん、客単価をアップするための施策も重要です。
このページでは、AOVの意味やAOVを向上して売上アップにつなげる施策について詳しく解説します。
AOVの数値の意味を理解して、正しいマーケティング戦略を実施していきましょう。
AOVとは?
AOVとは、「Average Order Value」の略で、日本語では「平均客単価」を指します。
ECサイトでは、1回の注文で購入される金額の平均値ですね。
AOVは、以下の計算式で求められます。
AOV = 総収益 ÷ 注文総数
この計算式を使って、「ある月の総収入が100万円で注文数が500件だった場合」の月単位のAOVを算出してみましょう。
500件/月の注文金額で100万円/月の収入が得られたので、計算式は「100万円 ÷ 500件」となり、 AOVは2,000円となります。これがある1ヶ月間のAOVです。
AOVはマーケティングに欠かせない指標
AOVは、以下のような様々な要素ごとの総収益、注文数のデータが把握できれば、それぞれに求めることが可能です。
- 期間
- 注文価格帯
- 施策
- 商品
- 顧客層
これらのパターンでAOVが算出できれば、年代ごとに客単価がどう違うか、マーケティング施策やキャンペーンごとにどのように客単価が変動したのか、などの各種データを読み取り、比較したり改善策を検討したりできるわけです。
例えば10代から80代までの女性が購入した注文に対する総収益と注文数が把握できれば、
10代女性から得られた総収益 ÷ 10代女性の総注文数
の計算式で、各年代のデータを当てはめて比較できます。
このデータを比較し、最もAOVが高い年代をターゲットにして、重点的にマーケティング戦略を検討すれば効率的ですよね。
このように、マーケティング施策を検討するうえで欠かせない指標の1つが、このAOVなのです。
AOV(平均客単価)を上げる3つの施策
では、AOVをアップさせるためにできることは何か、具体的な施策も見ていきましょう。
AOVをアップさせるには、主に以下の3つの施策が有効です。
- 客単価をアップ
- まとめ買いを増やす
- 合わせ買いを増やす
1つずつ詳しく見ていきましょう。
客単価をアップ
AOV(平均客単価)を上げるのに、客単価をアップさせるのは当然のことですが、これをどう行うかが重要です。
マーケティング用語では顧客の単価アップにつながる施策のことを「アップセル」といいます。
例えば売れ筋商品の上位版を新商品として追加するといったアップセル施策はどうでしょうか。
既によく売れている商品ですから、バージョンアップで従来品のデメリットを補うような機能等がプラスされていれば、上位版を選択する方もいるはず。
アップセルは商品やサービスごとにできることが違ってきますが「ちょっと上」の商品を準備しておくことで客単価がアップすれば、AOVアップにも貢献してくれます。
まとめ買いを増やす
同一商品を複数購入する「まとめ買い」が増えれば、AOVアップにも有効です。
一定の個数のまとめ買いで送料無料にしたり、1つあたりの価格を割安にしたりすれば、顧客にとっても魅力的ですし客単価も上げやすくなります。一定金額以上の購入で特典やプレゼント、次回利用できるクーポン等をプラスするのもいいでしょう。
まとめてもユーザーに何もメリットがないようならあまり意味がありませんが、わずかでもメリットがあれば、まとめ買い促進、AOVアップにもつながります。
少しでも安く、お得に、といったユーザーニーズに寄り添うことが大事です。
関連購買については以下の記事も参考にしてください。
合わせ買いを増やす
AOVアップには、「クロスセル」も有効です。
「クロスセル」とは、マーケティング用語で購入検討中の商品と一緒に別の商品を買ってもらうための手法を指します。
例えば掃除機の購入を検討している顧客に、お掃除がもっと楽になる別売りパーツや、交換用のダストパックをおすすめする、といった方法ですね。
ユーザーが検討している商品に欠かせないアイテムや、利便性を高めるための別売り品を「お忘れではありませんか」「こんな商品もありますよ」と紹介するのです。
購入意欲の高いユーザーに必要なもの、あると便利なものを合わせておすすめすることが、AOVをアップしやすい施策といえるでしょう。
合わせ買いでは商品に限らず、家電の長期保証の加入を促すような手法もありますね。
プラスαで顧客の心を掴む施策を最適なタイミングでアピールできれば、AOVアップも十分に狙えるはず。
ECサイトのマーケティングは、扱う商品やターゲット層、売れやすい単価などによって必要なデータも、マーケティング戦略もそれぞれに異なります。
ECサイトのAOV施策で迷ったら、ECサイトのノウハウを知り尽くしたプロフェッショナルにご相談ください。問題点を徹底的にチェックして、効率よく売上をアップするためのノウハウをお伝えします。
AOVアップのために排除したい3つのマイナスポイント
AOVをアップさせるためには、AOVが下がる原因も知っておいたほうが効率的ですよね。
扱う商品やサービス内容によって異なる部分はありますが、AOVを下げてしまう要因として、主に以下の3つのマイナスポイントが挙げられます。
- 品揃えが悪い
- アピール不足
- 利益率が低すぎる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
品揃えが悪い
ECサイトで、ターゲットとなるユーザーのニーズに添った品揃えができていなければ、離脱率も高まります。せっかくユーザーがサイトを訪問してくれても、品揃えが悪い、魅力的な商品がないようでは、単価アップにはつながりません。
なんでも売っている百貨店は魅力的ではありますが、場合によってはジャンルを特化した専門店のほうが信頼性を高められることもあります。
扱う商品ジャンルがバラバラでは、クロスセルで合わせ買いをおすすめしようにも効率が悪いでしょう。
AOVを上げるためにも、戦略的に商品の品揃えを検討する必要があります。
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アピール不足
ECサイトでは、サイトを訪れてくれたユーザーに、ベストなタイミングで商品をアピールすることが非常に重要です。
ECサイトでは、商品ページを作成しただけで多くの方に買ってもらえるわけではありません。
ユーザーにどのようにページを回遊して見てもらうか、関連商品やまとめ買いへの興味を引くか、AOVをアップさせるためのアピール込みで、サイトの導線づくりをじっくり検討しましょう。
ECサイトでは、直接の接客もできません。上手な導線でタイミングよく商品やサービスをアピールできなければ、売れる商品も売れないのです。
商品をアピールするための「マイクロコピー」については、以下の記事を参考にしてください。
利益率が低すぎる
全体的に利益率が低すぎれば、当然AOVを向上させることにも苦労するでしょう。
例えばユーザーの目を引く格安商品のアピールで集客できたとしても、客寄せの商品しか売れなければ薄利もしくは赤字となってしまいます。
利益率の少ない商品でECサイトをアピールしているなら、合わせ買いで利益率をアップさせるための施策も欠かせません。
ユーザーニーズに添った品揃えを増やし、サイト訪問後もそれぞれに適したタイミングでアップセルやクロスセルで商品をアピール、AOVをアップさせる施策が必要なのです。
ECビジネスで着実に利益を向上させていくためには、ECサイトでのユーザー獲得はもちろん、サイト内を回遊してもらうための導線づくりも大事。これらマーケティング施策の1つとして、AOV向上も検討しながら、収益アップを目指していきましょう。
ECサイト運用で利益拡大のためにできる施策は様々にありますが、施策を実施し、結果を検証してまた改善するといった積み重ねも大事です。
ECサイト戦略のおけるお悩みは、ECサイト運営のプロに相談ください。ECサイトごとに最善の施策をご提案いたします。