新型コロナウイルス感染症だけでなく、ウクライナ情勢など、日本のみならず世界経済への影響が様々に拡大していますが、そのような不安定な環境下で成長が加速しているのがD2C市場。
D2C市場の規模拡大に注目し、新たに参入を検討している企業様も増加傾向にあります。
このページでは、D2C市場規模から、D2C市場が注目される理由、デメリットまでまとめて解説します。
EC事業での伸び悩み打開策ともなり得る「D2C」の情報を詳しく見ていきましょう。
D2Cの市場規模
「D2C」とは「DtoC」と同意で、いずれも「Direct to Consumer」の略語。
企業が自社運営のサイトで、自社企画・製造の商品を消費者に直接販売するビジネスモデルをD2Cといいます。
このD2C業界の市場規模は、海外でも日本国内でも著しい成長を遂げているだけでなく、この先さらに伸びていくとの予測で、大手企業からの注目も集まっています。
例えば米国のデジタルマーケティング等の市場調査を行う大手リサーチ会社「eMarketer」によると、2020年、米国のD2C事業での売上が45.5%成長し、その売上は1,115億4,000万ドルを達成したとのこと。あわせて2023年には1,749億ドル8,000万ドル(日本円で23兆円超)を達成するであろうとの予想も立てられています。
日本では、ネット広告のコンサルティングなどを行う「㈱売れるネット広告社」による独自調査で「デジタルD2C市場規模推計と推測」として発表されたデータがあります。
2020年に発表された調査になりますが、D2Cの市場規模は、
- 2015年 13,300億円
- 2020年 22,200億円
- 2025年予想 30,600億円
と示されています。
参照:日本公庫総研レポート
これまでの上昇に引き続き、これからも発展の見込みがある市場として、D2Cが注目されるのも納得ですね。
D2Cが注目される3つの理由
D2Cがなぜここまで注目され、成長しているのか。ここからはその理由について解説します。
D2C市場を盛り上げる主な要素として、以下の3つの理由が挙げられます。
- 消費スタイルの変化
- SNSの普及
- 好循環を生み出しやすい環境
それぞれ詳しく解説します。
消費スタイルの変化
商品を購入するために店舗に行くのが当たり前の時代から、インターネット通販の普及が進み、いまやネットショッピングが当たり前の時代になっています。そんな中、コロナ禍でますますEC事業が広く利用されるようになってきました。
オンライン上での買い物に抵抗があった層にも浸透してきています。
必ずしも店舗を構えなくても「商品を売る環境」が整っているわけです。
この環境があれば、販売を小売店や販売代理店に依存しなくても、自社でのD2C販売が可能となります。
消費者も限られた店舗でしか販売されていなければ「欲しくても入手できない」ことがありますが、通販ならどの地域からでも商品を手軽に入手できますので、消費行動のサポートにもなりますね。
メーカーのブランディングなども必要ではありますが、D2Cでメーカー直販となれば、安心感もあるでしょう。
SNSの普及
TwitterやInstagram、FacebookなどSNSは、誰でも無料で利用できることもあり、年齢層問わず多くの人に広く利用されています。
マーケティングツールとしてSNSを活用する事例も年々増加しており、積極的な運用で大きな宣伝効果を得ている事業者も多数。
SNSは拡散力もあり、D2C事業においても活用したいツールの1つです。
SNSは多くの人が気軽に利用しており、消費者と近い距離でコミュニケーションがとれたり、トレンドや需要の把握ができたり、市場調査にも役立てられるのが魅力。
SNSの普及が進んだことも、D2C事業が注目され、成長するきっかけとなっているでしょう。
好循環を生み出しやすい環境
D2Cは小売店や販売代理店等を一切挟まず、商品を企画から生み出した企業が自社運営のECサイトを通じて、直接、消費者に向けて販売するビジネルモデルです。
D2Cのビジネスモデルで成功すれば、
- 中間マージンを省ける
- 店舗等の経費を省ける
- 広告宣伝費を抑えられる
- 消費者のニーズや意見が直接届く
- 自由に売れる
といった点で、事業での好循環を生み出すことが可能となります。
製品を作った企業が自社ECサイトでダイレクトに消費者に販売することで、中間マージンだけでなく、店舗や人件費等の経費も抑えられます。
Webページをしっかり作り込めば、わざわざ分厚いカタログを印刷して発送する手間や時間、費用も必要もありません。
SNS運用が最適化できれば、広告費も最小限に抑えられるでしょう。
D2C事業で浮いた費用は、消費者から直接届いた意見を参考にした商品改良や新商品の開発にも回せます。少しでも安く消費者の手元に商品を届けることも可能となりますね。
そうした企業努力や商品の企画開発までのストーリーなど、消費者の共感を呼ぶようなアピールも、自社サイトなら自由にできるわけです。
顧客からの意見を参考にした商品のリニューアルや開発を行っていけば、企業やブランドとしての安心感や信頼性も増し、ブランディングにも役立ちます。ブランドとして認知されるようになればリピーター増加、新規客獲得にも繋がるでしょう。
このような背景もあり、D2Cのビジネルモデルでは多くのメリットが得られます。
企業側のメリットだけでなく、消費者側にも安く商品を入手できたり、商品改良の要望を聞き取ってもらえたり、少なからずメリットがあるのです。
ここで紹介した「D2Cが注目される3つの理由」を見ただけでも、D2C市場規模が拡大している理由がわかるのではないでしょうか。
D2Cのデメリット
D2C事業が注目される理由やメリットを紹介しましたが、デメリットもあるのであわせてチェックしておきましょう。
D2Cのデメリットとしては、例えば以下の3点が挙げられます。
- 自社ECサイトの構築が必要
- 自社ECサイトでの集客販売スキルが必須
- 販売対象が個人
自社ECサイトの構築が必要
D2Cは自社サイトを運営して、そこで自社の製品やサービスを販売するビジネスモデルですので、サイト構築が必至です。
サイト構築では、例えば以下のような課題があります。
- どのようなサイトを作るのか
- どのように商品をアピールするのか
- 商品を魅力的に魅せるにはどうしたらいいか
サイト構築は消費者と繋がる窓口であり、売上を大きく左右する部分ですから、非常に重要です。
サイト構築に関するノウハウがなければ、ECサイト制作・運営のプロに相談する方法もあります。
自社ECサイトでの集客販売スキルが必須
自社ECサイトを作っただけで、商品が勝手に売れていくわけではありません。
良い商品だから人気が出るとは限らないのです。
サイトに集客し、ページをしっかりと見てもらい、さらに購入へと進んでもらうためのノウハウも必要です。
自社サイトに集客するためにできることは、以下のように複数あります。
自社サイトを見てもらうための検索キーワードの設定
- 魅力的な画像の配置
- 商品詳細が手に取るようにわかる紹介コンテンツ
- 複数の商品を見てもらうためのリンク配置
- SNSでの拡散
自社サイトを作って終わりではなく、反応を見ながら問題点をチェックし、改善していくノウハウ・スキルも欠かせません。
ときにはプロの手を借りた改善が必要となるケースもあるでしょう。
販売対象が個人
商品の企画製造が専門の企業様では、現状、消費者との接点がないといったケースも少なくないはず。
D2Cビジネスモデルは企画製造から、販売、カスタマーサービスまで自社で一貫して行いますので、顧客サポートのノウハウや体験もなければハードルを感じるところではないでしょうか。
ですが、サポート面の充実も、リピーターや新規客獲得のために欠かせない重要ポイントです。
また、D2Cでは基本的に販売相手が個人ですから、商品を1つ、もしくは数個の小さな単位で販売するケースがほとんどです。
商品を製造販売するからには、大量に売れないと採算が合わないこともあり、これはデメリットといえますね。
個人からの注文次第ですから、いつどれくらいの注文が入るのか動向予想も難しいのです。
できれば一定数の売上げを確保したいところですよね。
そのためには自社サイトやSNSを活用して情報を発信、集客に努めるのはもちろん、データを集めてさらに集客率を上げながら購買率を向上させていくなど、戦略も工夫も必要になってきます。
D2C市場への参入で事業拡大を成功させよう
D2Cはその市場規模が年々拡大しており、今後の伸びも見込まれる注目のビジネスモデルです。
D2C事業にはデメリットもありますが、自社の製品への思い入れや、体験を踏まえた開発秘話などストーリーも折り込みながら、自由な発想で販売できるのが大きな魅力。
D2Cのビジネスモデルで成功するためには、商品自体のクオリティだけでなく、サイト構築のノウハウやネットメディア運営のノウハウも欠かせません。
店舗を構える場合では、改装費や看板等に費用を割きますが、D2Cでは自社サイト構築が自社の看板となり、店舗となります。
自社サイト運営で迷ったら、ECサイト運営のプロにいつでもご相談ください。これまでに多くのECサイト構築や売上アップに貢献してきたノウハウで、D2C事業を強力にバックアップいたします。