ECサイトを運営していく中で、日常的に起きる問題のひとつに「カゴ落ち」が挙げられます。
一度はカートへ商品を入れてもらっているのに、購入に至らず離脱されてしまう。と、カゴ落ちに悩んでいる担当者様も多いのではないでしょうか。
この記事では、カゴ落ちをしてしまう原因や、どのような対策をすればカゴ落ちを少しでも減らすことが出来るのかを解説していきます。
カゴ落ちとは?平均データや計算方法を知ろう
ユーザーが、商品を買い物カゴ(カート・バスケット)に入れたものの、購入せずにサイトから離れてしまうことを「カゴ落ち」と言います。
別名「カート放棄」や「カート落ち」と呼ばれることもあります。ユーザーは、些細な事がきっかけで離脱してしまいます。そのため、カゴ落ちの改善をすることは、売上アップに効果的な施策の1つと言えます。
カゴ落ち率の平均データ
売上をアップさせる上で重要な「カゴ落ち」問題ですが、自社サイトで実際どれほどのユーザーがカゴ落ちしているのかを数値で表す「カゴ落ち率」と呼ばれる指標があります。
カゴ落ち率の改善するポイントは「カゴ落ち率」の数値を、どれだけ下げられるかが重要です。まずは、カゴ落ち率の平均値を知りましょう。
ECサイトの調査を行っているBaymard Instituteによると、世界平均のカゴ落ち率は「69.82%」という調査結果が発表されています。
つまり、商品をカゴに入れた10人中約7人は購入せずページから離れているんです!
この調査からカゴ落ちという現象は、どのECサイトでも起こり損失に対する影響も大きいことがわかります。
ちなみに業種別のEC化率のデータは以下の記事が参考になります。
カゴ落ち率の計算方法
カゴ落ち人数とカゴ落ち率は、以下の計算式で求めることができます。
カゴ落ち人数=カートに商品を入れたユーザー数-実際に購入した人数
例えば、カートに商品を入れたユーザーが100人で、実際に購入した人が40人の場合、カゴ落ち人数は60人です。
カゴ落ち率(%)=カゴ落ち人数 / カートに商品を入れたユーザー数×100
例えば、カゴ落ち数「60」で商品をカートに入れたユーザーが「100」なので、
「60÷100×100」という計算で、カゴ落ち率は「60%」となります。
カゴ落ちになる理由は?原因と対策
それでは、なぜカゴ落ちしてしまったか原因を探っていきましょう!
- 送料や手数料の追加費用が高かった
- 購入する際にアカウント作成が必要だった
- 配達が遅すぎた
- サイトが信頼できず、クレジットカード情報を入力したくない
- 決済までの手順が複雑だった・長すぎた
- 注文総額を事前に知ることが出来なかった
- ウェブサイトにエラーが発生した
- お店の返品ポリシーに不満があった
- 決済手段が少なかったため
上記のように、カゴ落ちには様々な原因があります。原因が分かったら、それぞれの原因に対して対策を行い、改善していくことが大切です。
ここではカゴ落ちの理由としてとくに挙げられる点を詳しく紹介します。
①送料や手数料の追加費用が高かった
ECサイトの中には、商品ページに商品代金しか提示されていない場合があり、いざ送料や手数料などを合わせた合計が、想定よりも高かった際
「他のECサイトはどうだろう?」
「とりあえず、キープだけしておこう」
という気持ちになります。その時にページを離れてしまい、そのまま離脱してしまう可能性があります。
対策:送料無料にするなど追加費用をなるべく減らす
「送料無料」にするなど、ユーザーにとってコストになる費用を減らすことが、挙げられます。しかし、費用を削ったぶん、売上に影響しちゃいますよね…。
送料をなくすのが厳しいという場合は、
・あらかじめサイトに送料や手数料をわかりやすく表示する。
・送料込みの商品代金に設定して、送料無料と表示する。
・送料を安くする。
などの施策を行ってみてください。
②購入する際にアカウント作成が必要だった
アカウントを登録する際に、住所や名前、電話番号、メールアドレス、クレジットカード情報、パスワード設定など…ユーザーにとっては手間に感じてしまい、離脱してしまう可能性があります。
対策:アカウント登録なしにする・登録を簡略化する
アカウント登録なしでも購入ができる!という解決方法があります。しかし、アカウント登録をして欲しいECサイト運営者にとっては、不十分な対策方法ですよね。
他の対策案として、
「アカウント登録でクーポン配布!」
など、アカウント登録をすることで、メリットがあると登録してもらえる可能性が高まります。また、登録をする際の手順を簡略化してみるのも効果的です。
③配達が遅かったため
いざ、商品を購入しようと思ってカートに入れても、配送日が遅いという理由で離脱するというユーザーもいます。最近のECサイトは、翌日配達を指定することができますし、商品を購入したユーザーは、できるだけ早く入手したい!!と思う方も多いです。
そのため、購入後から配達までに3~4日だとしても「配達が遅い」と感じ、離脱してしまう方もいます。
対策:配送方法の選択肢を増やす
配送方法や配達指定日などを、ユーザー自身が選ぶシステムにしましょう。
他にも、発送日を明確に表示したり、配送日や納期をその日付になる理由とともに、わかりやすく明記することも大切です。
例えば、土日が休みで発送が出来ない場合は、あらかじめ記載しておきましょう。そうすることで、ユーザーから納得して購入してもらえます。
④サイトが信頼できず、クレジットカード情報を入力したくない
商品を気に入ってカートには入れたが、クレジットカード情報を入力する段階で「このショップのセキュリティはしっかりしているのだろうか…」「きちんと届くのか」などと、サイトに信頼性を感じないため、離脱されてしまいます。
対策:セキュリティ対策への取り組みをサイト上でも表示する
しっかりと信用してもらうためにも「SSLサーバ証明書」や「常時SSL対応」など、セキュリティ対策への取り組みをサイト上でも表示し、カード情報が漏洩しないことを示しましょう。
また、ショップのURLが「http」のままのEC運営者は、常時SSL対応し、URLを「https」に変えておきましょう。
⑤決済までの手順が複雑だった・長すぎた
決済完了までに手間がかかってしまったり、複雑だったりすることで、ユーザーが離脱してしまう可能性があります。原因としては、時間がかかりすぎてしまうということ。
ただ、ネットショッピングを楽しみたい!というユーザーも多くいます。氏名や住所などの入力項目が多いと、手間が多いな…と感じてしまい離脱に繋がります。
対策:決済完了までの手間を減らす
決済完了までの手間を減らすことが、もっとも重要な対策です。
例えば、入力フォームを1つにまとめるなど、ユーザーがページ遷移する回数を減らすことで手間を減らすことに繋がります。
具体的には、決済方法に「Amazon Pay」などのID決済を導入するのが良いでしょう。ID決済は、個人情報を入力する手間を減らすことが可能なので、真剣に検討してみるのをおすすめします!
ほかにも、こだわったデザインにするよりも、誰が見ても分かりやすい入力フォームを作ることも大切だったりします。
⑥合計金額を事前に知ることが出来なかった
これは、①で上がった理由の「送料や手数料の追加費用が高かった」に類似したケース。
ユーザーは商品を購入する際に、カゴに入れる段階の金額を合計と見ていることが多いです。ただ、決済する際に送料や手数料などが組み込まれて、合計金額が想定以上だったら、そのまま決済せずにサイトから離脱してしまいます。
対策:決済前に合計金額を分かるようにしておく
対策としては、商品以外の送料や別途手数料も、分かりやすく表示させておきましょう。
カゴに入れる際に送料などの金額も記載されているなら、ユーザーは前もって計算することができるので、カゴに入れた時点で支払いを検討するでしょう。
分かりやすく表示させるだけで、カゴ落ちは防ぎやすくなります。
⑦WEBサイトにエラーが発生した
もし、操作中にエラーが発生すれば、初めから入力しなければなりません。そうすると、当然購入意欲は下がりますよね。そして離脱するわけです。
対策:EFO対策をする
まず、システムエラーをできるだけなくし、重い・固まるというような現象を改善しましょう。
さらに、エラーが出るのを防ぐために、EFO対策を試してみるといいでしょう。できるだけ入力項目を減らすのがポイントです。
例えば、郵便番号を入力すれば住所が出てくるように設定したり、入力漏れや間違いを指摘したりする入力補助機能を利用することで、ユーザーの手間を減らせ、入力ミスからのエラーが起こりにくくなります。
EFO対策は以下の記事でも詳しく解説しています。
⑧お店の返品ポリシーに不満があった
顧客が商品を購入する際は、返品が可能なのか不安に感じることもあります。
例えば、ネットで商品の確認をして自宅に届いたとしても、サイズが合わなかった!などという場合に返品を考えるケースがあります。
その時に、送料がユーザー負担だったり、保証期間が短い・開封後の返品不可など、販売者側に有利な返品ポリシーであれば、離脱してしまう可能性があります。
対策:返品交換などの条件を明確に記載しておく
サイト内で返品の条件に関して記載しておくことをオススメします。
ユーザーは、万が一返品が発生した場合に「何日まで返品をおこなえるのか、どのような手続きをすることが出来るのか」などとても敏感に気にするものです。そのため専用の返品情報を記載したページを作成しておくことでユーザーに安心感を感じてもらえます。
また記載する際は、ユーザー目線で返品ポリシーを書くように心がけると良いでしょう。
⑨決済手段が少なかったため
「ID決済がない」「クレジット一括払いしかない」「代引き不可」など決済手段が少ないことも、カゴ落ちの原因となります。
自分で利用したい決済手段がないと、同じ商品があるECサイトを探し、離脱してしまうケースが考えられます。
対策:決済手段を増やす
これは、決済方法を増やすほかありません。多くの人が使っている「クレジットカード」を決済方法に入れたら、十分だと感じるかもしれませんが、クレジットカードを使わないユーザー等もいます。
もしくは、
「外出中でクレジットカード情報を入力したくない…」
という方もいて、離脱をしてしまうケースがあります。ID決済や、代金引換なども、決済方法にあると安心感も高まります。
最近、増えてきているID決済を導入するのもいいですね!ユーザーが「購入まで数ステップで完了できる」ので、ユーザーの手間がかからずオススメです。
▼以前、ID決済について記事にも書いていますので、ご覧ください。
ID決済はカゴ落ち対策にもなりますので、ぜひ読んでみてください!
カゴ落ちにまつわるよくある質問
最後にカゴ落ちにまつわるよくある質問を紹介します。
- カゴ落ちメール配信のポイントは?
- カゴ落ち対策ツールは何がおすすめ?
- shopifyでできるカゴ落ち対策は?
気になる質問がある方はしっかり確認し、疑問が残らないようにしましょう。
カゴ落ちメール配信のポイントは?
カゴ落ちメール配信のタイミングは早ければ早いほど効果的です。顧客が商品に対して興味を失わないうちにアプローチできるため、なるべく早めの対策をしましょう。
しかし、あまりに早すぎると急かされている、監視されているような感じに思うかもしれません。初回のメール配信は商品をカートに入れた1時間後から2時間後くらいに送信するのがいいでしょう。
カゴ落ちメールの件名にはサイト名を明記し、それに加えて以下の文章を加えるのが効果的です。
- お買い物忘れはございませんか?
- カートに入って未決済の商品があります
- 購入手続きが完了しておりません
あくまで顧客へヘルプの案内をしている印象を与えるのがいいでしょう。
カゴ落ち対策ツールは何がおすすめ?
カゴ落ち対策ツールに役立つツールを紹介します。
- Cuenote FC
- カートリカバリー
- GENIEE ENGAGE
- SaleCycle
- Gyro-n EFO
- フォームアシスト
- BOTCHAN Payment
- EFO CUBE
自社の悩みにあったツールを導入して、効率よく運営しましょう。
shopifyでできるカゴ落ち対策は?
shopifyに限らず、ECサイトのカゴ落ち対策は以下に集約されます。
- 送料や手数料の追加費用が高かった
- 購入する際にアカウント作成が必要だった
- 配達が遅すぎた
- サイトが信頼できず、クレジットカード情報を入力したくない
- 決済までの手順が複雑だった・長すぎた
- 注文総額を事前に知ることが出来なかった
- ウェブサイトにエラーが発生した
- お店の返品ポリシーに不満があった
- 決済手段が少なかったため
まずは基本機能を実際に活用し、詳細な分析と改善を行います。その効果を確認した後で、迅速にバージョンアップできるという点が、Shopifyの主要な魅力の一つです。
機能を最大限に活かしながら、カゴ落ちを対策して売上アップを狙いましょう。
カゴ落ち率を改善するには原因を把握しよう!
ECサイトの売上アップを狙うなら「カゴ落ち」問題は避けては通れません。ユーザーが1度カートに商品を入れたということは、その商品を気に入っていたということです。
カゴ落ちが起こる原因は様々ですが、それぞれに対して施策を行うことで、カゴ落ちすることが減ります。ぜひ、記事を参考にしてカゴ落ちの改善をし、売上げアップを狙って下さい。