海外のみならず、日本国内でもEC化が進み、EC業界の市場規模は年々拡大傾向にあります。
ECサイトを新たに開設するにあたっては、どんなビジネスモデルがあるのか、基本的な部分を把握しておきたいところです。
このページでは、ECサイトの4つのビジネスモデル「BtoC」「BtoB」「DtoC」「CtoC」について、まとめて詳しく解説します。
事業EC化での失敗を回避し、目標となる成果を達成するためにも、事業内容に合ったビジネスモデルでECサイトを構築していきましょう。
ECサイトとは?ビジネスモデル以前の基本情報を紹介
ECサイトとは、電子商取引を行うサイトのこと。お店ではなく、インターネット上で商品やサービスを売買できるサイトですね。
ECは「Electronic Commerce」の略語で、eコマースと表現されることも。
ECサイトというと一般的なネットショップが思い浮かびますが、そのビジネスモデルにはいくつかの種類があります。
ここからECサイトのビジネスモデルについて詳しく見ていきましょう。
ECビジネスが拡大した経緯
ECビジネスはスマートフォンの普及やインターネット環境の整備などにより、大幅に成長しました。
ECビジネスが発展した要因は、実店舗の販売にはない利点が事業者とユーザーの双方に存在したためです。
事業者にとって高額な店舗運営コストをかけずにオンラインで商品を販売でき、いつでも商品を提供できる利点があります。ユーザーにとっても、店舗に足を運ばずに、自分の好きな時間に商品を購入できるのはメリットです。
ECサイト4つのビジネスモデル
ECサイトの主なビジネスモデルとしては、以下の4種が挙げられます。
- BtoC(企業→個人)
- BtoB(企業→企業)
- DtoC(企業→直接個人)
- CtoC(個人→個人)
1つずつ詳しく見ていきましょう。
BtoC(企業→個人)
BtoCとは「Business to Consumer(ビジネス・トゥ・コンシューマー)」の略。「Consumer」とは「消費者」の意味で、企業が消費者に向けて、商品やサービスを販売するビジネスモデルのことを指します。
多くの方が利用している通販サイト「楽天市場」や「Amazon」「Yahoo!ショッピング」等のECサイトは、企業が一般消費者に商品を販売する、BtoCの代表的なビジネスモデルです。
BtoC-EC市場では、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で2020年に市場規模の落ち込みが見られましたが、大きく下落した旅行業と飲食業以外のジャンルでは、順調な伸びを示しています。
新型コロナウィルスによる巣ごもり需要の増加で、これまで店舗でしか買い物をしてこなった層にもインターネット通販が普及し、その状況も徐々に定着してきています。こうした背景もあり、BtoC-EC市場は今後も引き続き需要増を見込めるでしょう。
BtoB(企業→企業)
BtoBとは「Business to Business(ビジネス・トゥ・ビジネス)」の略で、企業から企業向けに商品やサービスを提供するビジネスモデル。
卸業者が小売業者に商品を販売したり、企業のシステム構築を企業が請け負ったりするのがBtoBビジネスです。
BtoB-ECサイトでは、「モノタロウ」や「アスクル」「Amazonビジネス」などがその代表例として挙げられます。
BtoB市場のEC化率は製造業の一部で60%超えの業種がありますが、多くの業種でいまだ10%~30%の業種も見られます。
EC市場全体の拡大に伴い、BtoB-EC市場もこの先さらに拡大していく余力があるといえるでしょう。
BtoB-EC市場規模については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
DtoC(企業→直接個人)
DtoCとは「Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」の略で、ECサイト上におけるメーカー直販のこと。商品を製造するメーカーが中間業者を通さず、直接個人消費者に商品を提供するビジネスモデルです。
近年ではECサイトを構築する手段も様々に出現しており、メーカーが小売店や卸売業者等に頼らずとも商品を売買できる環境が整っています。
こうした背景もあり、メーカー直販で中間マージンを省き、リーズナブルに商品を提供できるサービスが増加、消費者の注目も集まっているのです。
DtoC-ECのビジネスモデルでは、特に化粧品やアパレル系のショップが多かったのですが、最近では食品や日用品を扱うメーカーの参入も増えてきています。
例えばメンズスキンケアブランドの「BULK HOMME」や、アパレル系ECの「FABRIC TOKYO」、完全栄養食を提供する「BASE FOOD」など、幅広いジャンルでのDtoC参入事例が挙げられます。
今後DtoC-ECのビジネルモデルは、より広いジャンルで拡大していくことが予想されますね。
DtoC-ECのビジネスモデルでは、自社サイトでの販売だけでなく、大手ECモールサイトへの出店も並行して行っているケースも多数。小売店等を通さない分、販売数を増やすための各種戦略も必要になってくるでしょう。
DtoC-ECの市場規模については、以下の記事で詳しく解説しています。
CtoC(個人→個人)
CtoCとは「Consumer to Consumer(コンシューマー・トゥ・コンシューマー)」の略で、一般消費者同士の取引を指します。個人提供の商品やサービスを、個人向けに販売するビジネスモデルです。
個人間のリアルな取引の代表例としてフリーマーケットがありますが、フリーマーケットをEC化したフリマアプリは多くの方が利用して人気を集めていますね。
CtoC-ECサイトとしては「メルカリ」「ラクマ」「ヤフオク」等があり、そのほか個人の手作り品を販売するハンドメイドフリマ「minne」や「Creema」といったプラットフォームも広く利用されています。
いずれのサービスも出品から決済、配送システムなど、個人が簡単に商品を販売するための環境も整っており、スマートフォン1つで販売できる手軽さも魅力。出品手数料無料のサービスもあります。
CtoC-EC事業は、2012年に日本初のフリマアプリ「Fril(現ラクマ)」がサービスリリースを行ったところから始まり、急速な勢いでその市場規模も拡大しています。
各種アプリなど、個人でも使える多機能なプラットフォームが増加していることがCtoC-EC市場の拡大に大きく影響しているといえるでしょう。
EC市場の業種別EC化率については、以下の記事で詳しく紹介していますので、こちらもご参照ください。
ECビジネスモデルのトレンド
ECビジネスを成功させるには、トレンドのプラットフォームを利用する必要があります。ここでは、ECビジネスモデルで有効とさせるトレンドをいくつか紹介します。
- ECモール
- O2O
- 越境EC
ECモール
ECモール型はAmazonや楽天などの「ECモール」と呼ばれるサイトに出品するモデルです。既に多くの利用者が存在するプラットフォームなので、売上につながるまでのスピードの速さが期待できます。
導入・出品のコストを抑えながらもなるべく早く結果を出したい場合は、ECモールを選びましょう。
他にもAmazonで売るとFBAが利用でき、注文後の梱包や発送・返品などの配送業務を代行業者に委託することも可能です。Amazonで売れた商品を自己発送することも可能ですが、FBAを利用することで配送業務から開放され、在庫保管スペースや配送業務に必要なコストをカットできるでしょう。
O2O
O2Oは「Online to Offline」の略で、ECサイトに限らずWeb上のユーザーを実店舗へ誘導させていくビジネスモデルです。実店舗とECサイトを上手く連携させたい場合に向いています。
例えば実店舗の売り上げ低下をカバーしたい場合、実店舗で使えるクーポンを配信すると相乗効果が得られます。実店舗が既に有名な企業・商品であれば、その知名度によってO2Oでも手軽に集客ができるでしょう。
越境EC
越境ECは、ECサイトを多言語に対応させ、世界各国の消費者に製品を販売するビジネスモデルです。国内の需要が減少しても、国際市場で事業展開することで利益を拡大し、リスクを分散させることが可能です。
しかしながら、国際展開には一定の障壁が存在します。最初に考慮すべき要素は言語によるコミュニケーションですが、各国に合わせた支払い方法、配送オプション、手数料、為替リスクなども考慮する必要があります。
さらに、異なる国々では異なる市場戦略が求められるため、対象国の文化や国民性などを研究し、それに合ったアプローチを検討する必要があります。
ECビジネスモデルの3つの課題
ECビジネスは実店舗を持たずに取り組めるうえに、さまざまな事業者が導入できるビジネスモデルです。
しかし、ECビジネスには利点だけでなく課題も複数挙げられます。
- ECサイトへの集客
- コンバージョン率の改善
- リピート率の改善
これからECビジネスに取り組む場合、上記の課題をどう解決するかも考えておきましょう。
ECサイトへの集客
自社のECサイトは、複数のショップを扱うECモールとは異なり、立ち上げ直後はほとんど知名度がないため、新規訪問者を迅速に獲得するのは難しいと言えます。
さらに、優れた商品が提供されていても、ユーザーに認知されない限り、商品の購入が期待できません。そのため、SNSやその他のさまざまなプラットフォームを活用して知名度を高める必要があります。
集客・マーケティングを専門としていない事業者がECビジネスを始める場合、集客は頭を抱える部分でしょう。
コンバージョン率の改善
コンバージョン率とは、ECサイトに訪問したユーザーのうち、どのくらいの割合で購入まで至ったかを数値化したものです。初心者がECビジネスを展開する場合、初めから高いコンバージョン率を挙げるのは難しいでしょう。
低いコンバージョン率の背後には、ウェブサイト自体に問題がある場合が考えられます。
たとえば、入力フォームが過多であったり、お問い合わせフォームや連絡先情報が見つけにくかったり、サイトのセキュリティが脆弱であったりすると、ユーザーにとって利用しにくく、信頼性に欠ける印象を与えてしまい、商品の購入を促すのは難しくなります。
ユーザーに使いやすく、信頼性のあるサイトとして認識されるようなプラットフォームの構築に注力することが大切です。
リピート率の改善
ECサイトで商品が購入されたとしても、ユーザーがリピートしてくれるかは別の話です。リピート率が低い原因の多くは、既存の顧客に対する「商品購入前後のフォローアップ」や「顧客との接触機会の不足」に起因しています。
継続的なコミュニケーションを取らないか、購入者に対して何らかのフォローアップを行わない場合、リピーターを獲得する可能性が低くなります。
商品購入後も、顧客が関心を持つ可能性のある情報を継続的に提供し、店舗への訪問やイベントへの参加など、顧客との接触を維持することが必要です。
ビジネスモデルに合ったECサイトを構築しよう
ECサイト4つのビジネスモデルについて解説しました。
それぞれ提供するスタイルが異なり、ECサイトの導入、構築で検討すべき戦略も変わってきます。
いまや個人でもECサイトビジネスで売上を上げられる時代であり、市場で勝ち抜くためにはサイト構築スキルのみならず、ユーザーへのブランディングや集客力、販売力、顧客とのコミュニケーション、マーケッティング施策など幅広い戦略が必要です。
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