ECサイトの配送料の決め方は?相場や安く抑える方法・注意点を解説

ECサイトを運営するうえで、配送料「顧客満足」と「利益率」を大きく左右する重要な要素です。

配送料が高すぎれば購入意欲をそぎ、低すぎれば自社の収益を圧迫してしまうため、適正な料金設定が欠かせません。

しかし、運送会社の料金体系や競合他社の施策、梱包コストなど検討すべきポイントが多く、初心者の方はとくに悩みがちではないでしょうか。

本記事では、ECサイトの配送料を設定する際に押さえておくべき基礎知識から、相場の目安コストをできるだけ抑えるための具体策までを解説します。

さらに、設定ミスを防ぐための注意点や、運用開始後の見直しのコツについても取り上げます。
自社の商品特性販売戦略に合った配送料の決め方を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

ECサイトで配送料を決める際に押さえるべき基本ポイント

ECサイトの配送料設定は、単に「いくらにするか」を決めるだけではありません。
利益率顧客満足度集客力など、さまざまな要素に影響を与える重要なテーマです。

初心者の方は「とにかく送料を安くすればお客様に喜ばれるのでは?」と思いがちですが、送料を低くしすぎると自社の利益を圧迫する可能性もあります。

ここでは、配送料を検討するうえで最低限押さえておきたい基本的な以下のポイントを解説します。

  • 自社の送料コスト構造を把握する
  • 競合他社の送料を調査する
  • 配送業者と条件交渉を行う
  • 顧客の視点で送料を検討する
  • 定期的に送料設定を見直す

それぞれの項目を順番に解説していきます。

自社の送料コスト構造を把握する

まず大切なのは、「自社がどれだけのコストをかけて商品を配送しているのか」を正確に把握することです。
運送会社に支払う基本運賃だけでなく、梱包資材費や作業にかかる人件費外注費など、トータルのコストを洗い出しましょう。
以下のような項目を整理してみてください。

  • 月間配送件数と平均購入点数
  • 1個あたりの梱包材・緩衝材のコスト
  • 出荷作業にかかる人件費
  • 発送地域の内訳(近隣、遠方、離島 など)

これらを集計してみると、1件あたりの平均配送コストが見えてきます。
もし計算した結果、現在の配送料設定では赤字を生んでいる場合や、利益率が極端に低い場合は早急な見直しが必要です。

逆に、適正コストを把握しておけば、将来的に配送料を上げ下げする際も判断しやすくなります。

競合他社の送料を調査する

自社の送料コストを把握したら、次にチェックしたいのが競合他社の送料設定です。
特に、同ジャンルの商品を扱うショップがどの程度の配送料を設定しているかを知ることは重要です。

競合が送料無料を実施しているなら、自社だけが高額な送料を設定していると、ユーザーが比較検討の段階で離脱するリスクが高まります。

一方で、競合に合わせすぎて自社の利益率を損なっては本末転倒です。
コスト構造と照らし合わせながら、対抗できる範囲を冷静に判断しましょう。

顧客の比較対象が「配送料」だけに限らず、「商品力」や「ブランド力」も含まれる点を理解し、送料とその他の要素をバランスよく検討することが大切です。

配送業者と条件交渉を行う

運送会社を利用する際は、必ずしも提示された定価の送料をそのまま支払わなければならないわけではありません。
月間の配送件数がある程度まとまっているのであれば、大口顧客としての割引特別条件が引き出せる可能性があります。
以下のポイントを押さえると交渉がスムーズです。

  • 「月間・年間の発送件数」の明確化
  • 主要な発送先エリアと配送サイズの概算
  • 繁忙期・閑散期の出荷量の見込み

交渉の際には他社の見積もりや実績データも用意し、「ここまで下げてもらえるなら貴社と契約したい」という具体的な数値目標を提示すると、相手側も条件を検討しやすくなります。

特にEC事業が成長し、出荷件数が増加しているタイミングは交渉に有利です。

顧客の視点で送料を検討する

配送料を決める際は、事業者都合だけでなく「顧客が支払う価値を感じるか」を考慮することが大切です。
商品自体がどんなに安くても、送料が高ければ購入を見送られるケースは少なくありません。
加えて、カート画面で想定より高い送料が表示されると、その時点で離脱してしまうこともあります。

顧客が納得しやすい送料とは何かを常に意識しましょう。
一定金額以上の購入送料無料にすると、購入単価を上げる効果が期待できます。

また、あえて有料配送プラン無料配送プランを用意し、配送スピードや日時指定の有無で差別化するケースもあります。
こうした工夫は「早く受け取りたい」「できるだけ安く買いたい」など、多様なニーズに応えやすいでしょう。

定期的に送料設定を見直す

一度決定した配送料でも、配送業者の料金改定や自社商品のラインナップ変更などにより、時期によって適正価格は変わってきます。

導入時は適切だったとしても、気づいたら利益を圧迫していたり、逆に高めに設定しすぎて顧客満足度を下げていたりするかもしれません。
半年から1年おきを目安に、データ分析を実施して送料設定を再評価する習慣をつけましょう。

その際、配送に関わるスタッフやカスタマーサポートからのフィードバックを収集すると、実際の運用面の課題を正確に把握できます。

ECサイト配送料設定の主なパターン

ECサイトの配送料設定にはさまざまなパターンがあります。
ここでは、下記の代表的な設定パターンをご紹介します。

  • 全国一律の送料設定
  • 配送地域別に送料を設定
  • 重量・サイズに応じた送料設定
  • 一定金額以上の購入で送料無料にする
  • 全商品送料無料にする
  • 配送方法別に送料を設定

どの方法を選ぶかによって「顧客への訴求力」「利益率」に影響が出るため、自社の商品特性ビジネスモデルに合わせて最適な方法を選択しましょう。

全国一律の送料設定

全国一律の送料設定は、すべての地域に対して同じ金額を提示するシンプルな方法です。

顧客が送料を理解しやすく、商品ページやカート画面でも分かりやすいのがメリットです。
例えば、「全国一律500円」のように直感的に理解しやすい点が強みとなります。

ただし、北海道や沖縄、離島など配送コストが高い地域への発送が多い場合は、実質的に赤字が増えるリスクがあるため、自社の配送先をよく確認してから導入するのが望ましいでしょう。

特に大型商品を扱っている場合は、余計なコスト負担が生じないよう注意が必要です。

配送地域別に送料を設定

都道府県別地域ブロック別など、配送先の地域によって送料を変える方法です。
距離や地域ごとの運送費用を考慮しやすく赤字リスクを抑えつつ適正価格で提供できるメリットがあります。

一方で、送料表が複雑になりやすく、顧客から見て分かりづらいと感じられる可能性もあるため、サイト上での丁寧な表示が欠かせません。
表示の工夫としては、「地域別マップ」を利用したり、カート内での配送先入力後に自動で送料が算出される仕組みを導入したりすると、ユーザーの負担を軽減できます。

スムーズなユーザー体験を提供するためにも、システム連携に投資するのも一案です。

重量・サイズに応じた送料設定

商品1点ごと、あるいは合計サイズや重量に応じて送料を計算する方法です。

大きさや重さが大きく異なる商品を扱う場合に適していますが、運営側は商品登録の際にサイズや重量情報を正しく設定する手間が増えます
正確な計測やシステム管理ができないと、余計なコストや顧客トラブルを招きかねません。

ただし、しっかりと仕組み化できれば、配送料を公平に徴収できる点はメリットといえます。
サイズが小さい商品を購入しているのに大きい荷物と同じ送料では割高感がある、という顧客の不満を防ぐ効果も期待できるでしょう。

一定金額以上の購入で送料無料にする

購入金額が一定ラインを超えたら配送料を無料にする施策は、多くのECサイトで採用されています。

例えば「3,000円以上のお買い上げで送料無料」などが典型的です。
顧客にとっては「もう少し購入すれば送料がタダになる」という明確なメリットがあるため、購入単価の引き上げに有効な手段として広く活用されています。

ただし、送料無料を維持するにはコスト負担が大きくなるため、その分を商品の価格や仕入れ交渉で吸収できるかを検討しなければなりません。

設定ラインが高すぎると購入意欲を下げ低すぎると赤字を増やす恐れがあるため、定期的に購入データを分析して最適なラインを調整してください。

全商品送料無料にする

思い切って「全商品送料無料」にするパターンです。

商品価格に送料を上乗せする形になるため、カート落ちが減る、顧客満足度が高まるなどの大きな利点があります。
顧客にとっては「送料がかからない」というだけで心理的ハードルが大幅に下がるため、購入率アップが期待できるでしょう。

一方、利益率の確保が難しくなる場合もあるので、あらかじめ十分なテスト販売シミュレーションを行いましょう。
特に商品単価が低めのECサイトで全品送料無料を実施すると、配送料の負担が重くのしかかることがあります。

配送方法別に送料を設定

宅配便やネコポス、ゆうパケットなど、配送方法ごとに送料を分けるやり方も有効です。

サイズが小さいものはメール便、急ぎの場合は宅配便といった形で運送手段を使い分けることにより、顧客に複数の選択肢を提供できます。
ユーザーが目的に合わせて送料をコントロールできる点は、大きなメリットです。

一方、配送方法の選択肢が増えるとサイト設計顧客案内も複雑になります。
各配送方法の配達日数や追跡情報の有無を分かりやすく整理する必要があるでしょう。

顧客が混乱しないよう、FAQやガイドページで「おすすめの配送方法」などを示すと効果的です。

EC配送料の相場と最新動向

ECサイトの配送料相場は、商品のジャンルや大きさ、発送方法によって大きく異なります。
また、国内の運送業界では近年、宅配便の需要増加人手不足に伴うコスト上昇などが影響し、運賃の見直しが相次いでいます。
ここでは一般的な配送料の目安と、最近の動向を概観します。

一般的な配送料の目安

全国一律の場合、500円〜800円程度がひとつの目安とされることが多いです。
とはいえ、北海道や沖縄・離島などは追加料金を設定するケースも珍しくありません。

宅配便のサイズや重量によっても変わりますが、60サイズであれば700円前後、80サイズになると1,000円前後とされることが多く、地域差も考慮に入れる必要があります。

最近は小型配送に特化したメール便や宅配便コンパクトなどのサービスが増えており、手軽に利用できる反面、サイズオーバー時の追加料金などに注意しなければなりません。

自社の取り扱い商品に合わせた最適なサービスを選びましょう。

最近の配送料事情

近年はEC市場の拡大に伴い、宅配業者の取扱数量が増えています。
その結果、運送会社の人手不足再配達の増加が続いており、コスト上昇が顕在化してきました。

このような状況から、以下のような動向が注目されています:

  • 置き配や宅配ボックスなど「再配達を減らす取り組み」の推進
  • 配送ドライバーの働き方改革による運賃見直し
  • 大型商品配送を専門に扱う運送会社の増加

こうした業界全体の事情を踏まえ、自社の配送方法や取扱い商品の特性に合わせた戦略を立てていくことが大切です。
複数の配送業者とコミュニケーションを取り、常に最新情報をキャッチアップしておきましょう。

配送料を安く抑える方法

配送料を抑えるためには、運送会社との交渉だけでなく、梱包方法や仕入れ戦略、さらには物流全体の最適化を検討する必要があります。
ここでは、具体的に取り組みやすい方法を5つご紹介します。

  • 配送業者との大口契約・交渉で送料を割引
  • 複数の配送業者を比較・使い分ける
  • 梱包サイズや重量を見直す
  • 送料無料ラインの活用で送料負担を軽減
  • 物流代行サービスの活用を検討する

配送業者との大口契約・交渉で送料を割引

一定の出荷件数があるなら、月間や年間単位での大口契約を検討しましょう。

見積もり依頼時には、「年間どれだけの件数を発送するか」「発送する商品の平均サイズはどの程度か」といったデータを正確に提示すると、有利な条件が提示されやすくなります。
複数の配送業者から見積もりを取得して比較すれば、価格交渉がさらに効果的になるでしょう。

とくにEC事業が拡大し、発送件数が倍増するようなタイミングでは、改めて配送業者に交渉を持ちかけるチャンスです。
自社が成長している状況を示すことで、相手側も優遇しやすくなります。

複数の配送業者を比較・使い分ける

地域や商品の種類によって配送業者を使い分ける方法も有効です。
例えば、近郊への小型配送にはコストが安いA社、遠方への大型商品には割引率が大きいB社を利用するといった具合です。

ただし、業者が増えると管理が煩雑になりやすいので、しっかりと配送管理システムを整えておく必要があります。

使い分けを成功させるには、社内フローの明確化スタッフへの教育が欠かせません。
誰がどのような基準で業者を選定するのかをマニュアル化し、実運用に取り入れましょう。

梱包サイズや重量を見直す

意外と見落とされがちなのが、梱包サイズや重量の見直しです。
箱が大きすぎると運送会社の料金区分が上がり、送料に直結します。
商品のサイズに合った箱を選び、緩衝材を最適に使うだけでもコスト削減に大きく寄与します。

まとめ買いを推奨して一度の配送で複数商品を送る場合は、適正な大きさのダンボールを用意して配送回数を減らす工夫も重要です。
ただし、割れ物など破損リスクの高い商品では、十分な保護をしたうえで適正サイズを模索してください。

送料無料ラインの活用で送料負担を軽減

「一定金額以上の購入で送料無料」の仕組みは、多くの顧客にとって魅力的です。
例えば「あと500円で送料が無料になります」と表示すると、追加購入を促進できます。

ただし、実際に送料無料にする場合は、そのぶんのコストをどう吸収するかが課題です。
仕入れコストや商品価格帯平均注文単価を分析し、送料無料による増収効果と送料負担を比較してください。

もし、増収効果が送料負担を上回るようであれば積極的に導入する価値があります。
また、テスト期間を設定して効果測定を行い、その結果によってラインを調整するのもおすすめです。

物流代行サービスの活用を検討する

物流企業が提供するフルフィルメントサービスや、倉庫管理・出荷代行といったサービスを利用することで、送料を含む物流コストを一元管理できる場合があります。
これらのサービスは複数の荷主をまとめて大口契約をしていることが多く、自社単独で契約するよりも安い配送料を適用できる可能性があります。

ただし、外部委託のため、サービス品質在庫管理の透明性などをしっかりチェックしないと、顧客満足度を下げるリスクがあります。
導入前に、担当者がテスト的に利用してみる、他社の事例や評判を調べるといったステップを踏むと安心です。

配送料設定における注意点

配送料を設定するうえで、利益率の確保顧客満足度を保つために気をつけたいポイントがあります。

送料を安くするだけではなく、適切に情報を開示し、予期せぬ負担が発生しないように設計することがリピーター確保のカギです。

  • 利益率を確保できる送料設定にする
  • 送料表示を明確にしてカゴ落ちを防ぐ
  • 離島や大型商品の送料に配慮する

それぞれ順番に解説していきます。

利益率を確保できる送料設定にする

配送料を下げることで売上が伸びても、そのぶん利益率が下がりすぎては意味がありません。

まずは商品原価や手数料広告費などとあわせて、送料が全体のコストに占める割合を計算しましょう。商材が複数ある場合、それぞれの原価率と想定販売数を考慮し、送料転嫁の度合いをシミュレーションしておくと赤字リスクを下げられます。

また、セールやキャンペーン時期には配送料をどう扱うのかも検討が必要です。
割引やポイント還元などとの兼ね合いを見ながら、送料設定を適宜カスタマイズできるよう準備しておきましょう。

送料表示を明確にしてカゴ落ちを防ぐ

配送料が高くても、事前に明確に提示されていれば顧客は納得しやすいものです。

一方で、商品ページに「送料別」としか書かれておらず、カート画面に進んで初めて高額な送料が表示される場合、驚きや不信感から離脱につながりやすくなります。

以下のような点を意識すると、カゴ落ちを減らしやすくなります:

  • 商品ページ内または「配送方法・送料」リンクで送料を先に確認できる
  • 離島や一部地域の追加料金が発生する場合は明確に案内
  • 「あと〇〇円で送料無料」といった促進メッセージを表示

こうした表示を徹底することで、顧客の心理的負担を軽減できます。
特に離島や海外への配送に追加料金がかかる場合は、その理由や金額をわかりやすく説明しておきましょう。

離島や大型商品の送料に配慮する

離島への配送や、大型商品(家具・家電など)を扱う場合は、通常の宅配便ではなく特別な配送方法を利用することがあります。

この際、追加料金がかかったり配送日数が延びたりするケースが少なくありません。
事前に顧客へ周知しないと、「急いでいるのに届かない」「思ったより配送料が高い」などのクレームにつながる恐れがあります。

大型商品はサイズや重量が特に大きく、一般的な宅配便と料金体系が異なることが多いです。
商品ページに「大型配送」専用の注意書きを設けたり、見積もりを個別対応にしたりといった運用ルールを明確にすると安心です。

送料改定時は顧客に丁寧に案内する

運送会社の料金改定や自社の方針転換で配送料を見直す場合、できるだけ早いタイミングで告知することが重要です。

SNSやメルマガ、公式サイトのお知らせ欄などを活用して、「何月何日からどのように送料が変わるか」をきちんと周知しましょう。

改定理由を説明すると顧客の理解を得やすくなります。
例えば、「運送会社の料金改定があり、やむを得ず配送料を改定させていただきます」
という文面を添えるなど、丁寧さと誠実さをアピールするとよいでしょう。

まとめ

ECサイトの配送料設定は、利益率や顧客満足度リピート率にも大きく関わる重要な要素です。
まずは自社のコストをしっかり把握し、競合や顧客視点を踏まえて最適な送料を試算しましょう。

設定パターンを理解し、定期的な見直しや配送業者との交渉を怠らないことが、長期的に安定した運営のカギとなります。

商品特性に合わせた適切な設定や、明確な送料表示を徹底すれば、顧客満足度も維持しながら利益を確保しやすくなるでしょう。

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