FBAはAmazonにECサイト運営の受注、決済、配送、カスタマーサービスまでをまとめて代行してもらえるサービスですが、利用する際には、通常の手数料に加えて、別途手数料がかかります。AmazonFBA利用で追加で発生する主な手数料は「FBA販売手数料」と「FBA保管料」。
このページでは「在庫保管手数料」について、詳しく解説します。販売手数料を抑えることはできませんが、在庫の保管に関する費用は抑える方法があります。
極力無駄なコストを発生させず収益を確保できるように、AmazonのFBAで保管料が発生する仕組みや手数料の金額を理解しておきましょう。
AmazonFBAの手数料全般については、以下の記事をご参照ください。
AmazonFBAの保管料とは?
AmazonのFBAを利用する場合、Amazonのフルフィルメントセンター(以下FC)という倉庫に在庫を保管して販売することとなり、その保管料として「在庫保管手数料」が発生します。
自己発送なら販売手数料だけで済みますが、FBAを利用するなら在庫保管手数料は避けて通れないコストです。
AmazonFBAでの保管料としては、在庫保管手数料が基本ですが、もう1つ「長期在庫保管手数料」もあります。
ここから、在庫保管手数料と長期在庫保管手数料の2つの保管料について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
AmazonFBAの在庫保管手数料
FBAの出品商品すべてにかかる「在庫保管手数料」から解説します。
在庫保管手数料の発生と請求
FBA在庫保管手数料は日割りで計算され、月ごとに請求が発生する仕組み。毎月7日から15日の間に前月分の在庫保管手数料を算出し、次回の決済時点で請求されます。
では、具体的な保管料の計算方法について見ていきましょう。
在庫保管手数料の計算方法
FBAで発生する在庫保管手数料は、保管する商品のカテゴリーや時期によって以下のように異なります。
在庫商品のカテゴリー・サイズ | 1月から9月の在庫保管手数料 (税込) | 10月から12月の在庫保管手数料 (税込) |
---|---|---|
小型/標準サイズ (「服&ファッション小物」と「シューズ&バッグ商品」以外) | 5.160円 ✕[商品サイズ(cm3)]/(10cm✕10cm✕10cm) ✕ [保管日数]/[当月の日数] | 9.170円 ✕[商品サイズ(cm3)]/(10cm✕10cm✕10cm) ✕ [保管日数]/[当月の日数] |
大型サイズ/特大サイズ (「服&ファッション小物」と「シューズ&バッグ商品」以外) | 4.370円 ✕[商品サイズ(cm3)]/(10cm✕10cm✕10cm) ✕ [保管日数]/[当月の日数] | 7.760円 ✕[商品サイズ(cm3)]/(10cm✕10cm✕10cm) ✕[保管日数]/[当月の日数] |
「服&ファッション小物」 「シューズ&バッグ商品」 | 3.10円 ✕[商品サイズ(cm3)]/(10cm✕10cm✕10cm) ✕ [保管日数]/[当月の日数] | 5.50円 x[商品サイズ(cm3)]/(10cm x 10cm x 10cm) x [保管日数]/[当月の日数] |
在庫保管手数料は商品の価格には一切関係なく、納品時の梱包した状態で、倉庫を占有するスペースに応じて算出されるものです。
そのため、体積が大きく安価な商品をFBAで販売すると、収益を確保できなくなる可能性があります。販売手数料や送料だけでなく、在庫保管手数料も含めて採算が取れるのか、納品前にしっかり把握しておくことが重要です。
在庫保管手数料をFBA料金シミュレーターで確認してみよう
在庫保管手数料は計算式が複雑で、文字だけではイメージがつきにくいでしょう。
FBAでの在庫保管手数料が具体的にいくらかかるのか、5つの商品を例として、おおよその手数料額をFBAの料金シミュレーターでチェックしてみました。
いずれも商品1点あたりの在庫保管手数(月額)の目安になります。それぞれの画像は1月から9月の在庫保管手数料を示したものになりますが、画像の下に10月~12月の期間における在庫保管手数料も記載していますので、こちらもご覧ください。
書籍の場合
サイズ | 商品1点あたりの在庫保管手数料(月額・税込) |
---|---|
1.5✕11.5✕17.8cm | 1月~9月→1円 10月~12月→3円 |
小型商品の場合
サイズ | 商品1点あたりの在庫保管手数料(月額・税込) |
---|---|
1.5✕11.5✕17.8cm | 1月~9月→2円 10月~12月→4円 |
ケース商品の場合
サイズ | 商品1点あたりの在庫保管手数料(月額・税込) |
---|---|
1.5✕11.5✕17.8cm | 1月~9月→61円 10月~12月→108円 |
家電の場合
サイズ | 商品1点あたりの在庫保管手数料(月額・税込) |
---|---|
1.5✕11.5✕17.8cm | 1月~9月→225円 10月~12月→399円 |
大型家電の場合
サイズ | 商品1点あたりの在庫保管手数料(月額・税込) |
---|---|
1.5✕11.5✕17.8cm | 1月~9月→1,054円 10月~12月→1,872円 |
小型の商品であれば数円で済みますが、大型になると数百円、数千円単位の在庫保管手数料が発生します。
1月~9月と10月~12月の期間によって、在庫保管手数料が変動する点にも注意が必要ですね。
在庫保管手数料の確認方法
FBAの在庫保管手数料は、毎月7日から15日の間に前月分が算出されますので、例えば3月分の在庫保管手数料は、4月7日から15日のトランザクションを含むペイメントレポート上で確認できます。
AmazonFBAの長期在庫保管手数料
FBAの在庫保管手数料に追加で発生するのが「長期在庫保管手数料」です。詳細を見ていきましょう。
長期在庫保管手数料の発生と請求
AmazonFBAで売れ残りの商品があり、FCでの保管期間が365日を超えると、在庫保管手数料とは別に追加発生するのが長期在庫保管手数料です。
長期在庫保管手数料は毎月15日、月1回行われる「在庫一掃チェック」で対象となる在庫分について算出され、次回の決済時に請求されます。
長期在庫保管手数料の計算方法
長期在庫保管手数料は、10cm✕10cm✕10cmあたり17.773円(税込)で計算されます。
メディア商品(書籍・CD・レコード・DVD・ビデオ)については、最低長期在庫保管手数料が商品1点につき10円と設定されています。メディア商品以外のカテゴリーでは、最低長期在庫保管手数料の設定はありません。
長期在庫保管手数料の例としてAmazonが掲載している具体的な費用は、以下のとおりです。
商品 | サイズ | 長期在庫保管手数料 | 最低長期在庫保管手数料 | 適用される長期在庫保管手数料 |
---|---|---|---|---|
おもちゃ | 25cm✕18cm✕2cm | 16円 | 適用外 | 16円 |
本 | 19cm✕12.5cm✕2cm | 8円 | 10円 | 10円 |
CD | 15cm✕13cm✕1.4cm | 5円 | 10円 | 10円 |
AmazonFCでの保管期間が365日を超えると、こうしたコストが商品1点ごとに毎月発生することとなります。
長期在庫保管手数料の確認方法
売れない在庫をFCに保管したままにしておくと、利益を出せないばかりか、手数料だけが積み重なってしまうわけです。
できれば長期在庫保管手数料が発生しないように対策をしておきたいですね。
Amazonの長期在庫保管手数料は請求が発生する前に、セラーセントラルの
- 返送推奨レポート
- 在庫健全性管理
で確認可能です。
長期在庫保管手数料の請求対象となる在庫については、6週間前に返送推奨レポートで確認できますので、こまめにチェックして、無駄な保管料が発生しないように早めに対処していきましょう。
長期在庫保管手数料を発生させないためにできること
長期在庫保管手数料は、365日を超えての在庫保管が原因であり、365日以内に販売できれば支払う必要のない手数料です。
値下げして売れるものなら、そのほうがコストを抑えられる可能性があります。
365日以上経過したとしても、毎月15日の在庫一掃チェックの時点で販売できれば、長期在庫保管手数料は発生しません。
また、手数料はかかりますが「FBA在庫の返送/所有権の放棄」のシステムを利用して、在庫一掃チェック前に該当在庫の返送または所有権を放棄すれば、長期在庫保管手数料を請求されずに済みます。
FBA在庫の返送/所有権の放棄でかかる手数料は商品サイズ区分と重量によって異なりますが、以下のとおり長期在庫保管手数料より安めに設定されていますので、こちらも検討してみるといいでしょう。
【FBA返送/所有権の放棄手数料】
商品サイズ | 重量 | 商品1点あたりの手数料(税込) |
---|---|---|
小型、標準サイズ | 0~200g | 30円 |
201~500g | 45円 | |
501~1,000g | 60円 | |
1001g~ | 100円 + 1,000gを超えた分の1,000gにつき40円 | |
大型および特大型 | 0~500g | 80円 |
501~1,000g | 110円 | |
1,001~2,000g | 140円 | |
2,001~5,000g | 200円 | |
5001g~ | 350円 + 5,000gを超えた分の1,000gにつき40円 |
FBAの保管料を抑えて効率よく収益アップ!
Amazonの在庫保管手数料は、FBAを利用するにあたっては必須のコストですが、体積に応じて発生するため、FBA販売に向く商品と向かない商品があります。
AmazonFBAはECサイトの効率アップに最適なシステムで、非常に便利であることは間違いありませんが、場合によってはデメリットになり得る部分も把握しておくことが重要です。
特に長期在庫保管手数料は、無益なコストとなりますので、発生前に正しく対処して回避していきましょう。