ECサイトを運営する目的の一つに「売上を伸ばすこと」がありますよね。売上を伸ばすために「SEO対策をしたり、購買履歴に応じたクーポンを表示したり、広告出稿を検討したり」と、さまざまな方法で日々改善をしている運営者の方が多いと思います。
多くの施策がある中で意外と見落としがちなのが、”決済方法を充実させること”です。実は、決済方法を充実させることが、顧客満足度を高めて売り上げを伸ばすことに大きな要素を占めていることをご存知ですか?
理由としては、カゴ落ちのリスクを減らしてくれたり、コンバージョン率を上げてくれるからですが、ご存知ない方もいらっしゃるかと思います。
なので今回は、中でも最近人気があってオススメな「ID決済」についてご紹介します。
ID決済には様々なメリットがありますが、メリットだけではなく、注意点などもありますので一緒にご説明していきますね。
ECサイトで使える決済方法「ID」とは?
まずは「ID決済」について、ご説明します。
ID決済とは、主に「Amazon Pay」「楽天Pay」「PayPay」「LINE Pay」など外部のサービスと連携することで、登録されている情報を使って決済ができる仕組みのことです。
ID決済は、ここ数年でECサイトへの導入が進んでいる比較的新しい決済方法の1つ。
お客様のダウンロードしたアプリに、クレジットカード情報や銀行口座を紐づけておくことで、決済が可能となる便利な決済方法です。
はじめて利用するECサイトであっても、「氏名」「住所」「電話番号」「メールアドレス」「クレジットカード情報」など、個人情報を入力する手間が省けることが、入力を手間だと感じて購入を控える層の離脱を防ぎ、購入率を飛躍的に伸ばすことに繋がります。
ECサイトにおけるID決済の使用率
ECサイトではどのくらいの割合でID決済が使用されているのでしょうか。以下は令和2年に総務省が行った調査結果です。
電子マネーによる支払いは、クレジットカード払いやコンビニ払いに比べてまだまだ少ないものの、年々増加傾向にあります。
ちなみに、私の場合は「Amazon Pay」や「楽天Pay」を下記の点から利用しています。
- クレジットカード情報を入力する手間が省ける
- 支払いがスムーズになる
- ポイント還元される時もある
ID決済は、消費者にメリットがあるからこそ、離脱しづらい決済方法と言えます。今のうちから導入しておくと、顧客離れを抑制できるでしょう。
ECサイトにID決済を導入するメリット
次に、ECサイトでID決済を導入すれば得られる4つのメリットを解説いたします。消費者と運営者側の目線になって、それぞれ紹介します!
- 利便性が上がる
- コンバージョン率が上がる
- 不正利用対策になる
- アクティブユーザーを獲得できる
①利便性が上がる
ID決済であれば、登録されているIDとパスワードを入力するだけなので、決済完了まで数タップで購入することが可能です。
手間が省けることにより、購入する上での心理的ハードルが下がり、お客様の購入意欲を向上させることができます。
②コンバージョン率が上がる
ID決済を導入することで「ECサイトを訪問したお客様のうち、実際にどれくらい商品購入に至ったのか」という、コンバージョン率が上がるケースが多いです。
コンバージョン率が下がる原因の1つに、「個人情報の入力に手間がかかる」というお客様が意外と多いです。ID決済を導入することにより「氏名」や「住所」を入力する「手間が省ける」ので、カートに入れた後の離脱率の低下が見込め、コンバージョン率の改善が期待出来ます。他にも、
「クレジットカードの入力するのは怖い…」
などといったことも離脱の原因となります。
例えば、
スキマ時間を見つけたら、ネットショッピングを見ることも多いと思います。
目当てのものを見つけていざ購入しよう!とクレジット情報を入力しますが、周りに人がいるとさすがに躊躇いますよね。最近は、怖い事件も多いですからね。
家に帰ってからにしよう。とカートに入れたまま忘れて、カゴ落ちしてしまう可能性があります。
後になって、買わなくていいかなと思っちゃったりするんですよね。
ID決済を導入することにより、クレジットカード情報を入力する!という不安要素や、住所登録などの手間を取り除けることが、ID決済によるメリットです。
③不正利用対策になる
ID決済には、高水準のセキュリティが用いられております。万が一、不正利用の被害に遭った場合も損失金の保証サービスを受けることができます。
※各ID決済の規約に準じます。
不正利用対策はお客様からしても嬉しい利点ですね。
④アクティブユーザーを獲得できる
ID決済は、アクティブユーザーを獲得することにも繋がります。ID決済を利用しているお客様は、普段からECサイトでの購入を行っている層が多いです。
ID決済にすることで、お客様は、以下のようなメリットがあり、より購入してくれやすくなります。
- ポイント獲得の決済方法を統一することができる
- 購入方法がスムーズになる
ECサイトで売上を上げるためには、商品の購入が多いアクティブユーザーを取り入れることが大切です。アクティブユーザーの層に向けて
「買い物をするとポイント率アップ!」
などのプロモーションを行うことで、ポイントを重視する層のお客様を取り込める可能性も上がるため、お客様の商品購入を後押しする効果が見込めます。
ECサイトでID決済を導入する際の注意点
ID決済はメリットだけではなく、注意点もあります。
- ID決済の挙動や利用ユーザー層が異なる
- キャンペーンを積極的に行っているのか確認
- 顧客リストが使用できない
- 利用者数に注意
しっかりリスクも抑えておくことで、安心したECサイト運営が可能です。どのような注意点があるか以下をご覧ください。
①ID決済の挙動や利用ユーザー層が異なる
自社が利用しているECプラットフォームによりID決済の挙動や、利用ユーザー層が異なってきます。ECプラットフォームには色々な種類があり、ID決済にも同じく色んな種類があります。ID決済を導入する際は、自社のサイトと相性の良いものを選ぶ必要があります。
②キャンペーンを積極的に行っているのか確認
ID決済を導入する際は、キャンペーンを積極的に行っている会社なのかを確認することも大事です。ID決済を利用するお客様は、ポイント還元などのインセンティブを期待して利用する可能性もあるため、キャンペーン開催の有無によって利用率が大きく変わってきます。
もし、ID決済会社がポイントのキャンペーンを行っているなら、ポイントは自分のECサイトで利用されることになるため、販売促進や新規顧客の獲得などに大きな効果を得られます。
ただキャンペーンが少ないなら、お客様としてもID決済を利用するメリットを感じず、他のECサイトへ流れてしまうことも十分に考えられるでしょう。
そのため、キャンペーンを行っているのか確認をしてみることを、忘れないようにしてください。また、運営側もコンバージョン向上のために、キャンペーン対象の決済ボタンを分かりやすく表示するなど工夫も必要です。
ID決済は、キャンペーンが実施されているかなども、売上に大きく関わってくるため、しっかりと確認しましょう。
③顧客リストが使用できない
ID決済によっては、顧客情報の利用が制限されているものもあります。各ID決済の仕様を確認し、アップセルなどに活用できるリストが得られるかどうか確認をしましょう。
④利用者数に注意
どれだけ利便性の高いID決済も利用者が少なければ、実際、購入に繋がる母数も少なくなります。利用者の多いID決済を選択しましょう。
ECサイトに使われる代表的なID決済方法4つ
ID決済には色々な種類があるのですが、今回は利用者の多い代表的なID決済方法を、4つご紹介します。
- Amazon Pay
- 楽天Pay
- PayPay
- LINE Pay
Amazon Pay
Amazon.co.jpアカウントに登録されたお支払い情報や住所を使って、商品やサービスの支払いができる「Amazon Pay」。Amazonアカウントをそのまま使えるので、情報登録に手間がかからず離脱率が減少。かご落ち対策にもなります。
楽天Pay
楽天ユーザーには30代~40代の女性が多いのが特徴で、楽天ポイントの獲得を狙いリピーターとなる可能性が高いのが「楽天Pay」です。
また、楽天会員登録をしたお客様が、楽天IDとパスワードを使い、楽天以外のECサイトでも簡単にお支払いが出来ます。業界シェア1位と言われています。
PayPay
業界2位のシェア率と言われているのが「PayPay」。
クレジットカードを持っていないユーザーでも、気軽に使えるID決済です。PayPayはソフトバンクまとめて支払いや、銀行口座などを利用して支払うことが可能。今後さらに、利用者の増加が見込まれるID決済と思われます。
LINE Pay
LINEを利用しているお客様が、アプリを使いECサイトでの決済を簡単に行うことが出来る、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」。
ECサイトにおける買い物で、支払情報の入力をせず、事前にチャージした残高や、登録済みのクレジットカードを使って、簡単に支払いが出来ます。
ECサイトのID決済会社を選ぶ3つのポイント
ECサイトのID決済会社は複数ありますが、選び方は以下を参考にしてみてください。
- ターゲットの年齢に合った決済会社を選ぶ
- 導入コストで選ぶ
- サポート体制で選ぶ
ターゲットの年齢に合った決済会社を選ぶ
ECサイトの成功に欠かせない決済方法の選択。その際、最初に考慮すべきポイントは、ターゲット顧客の年齢層です。
若年層に人気のあるQRコード決済やスマホアプリ決済が好ましいでしょう。逆に、中高年向けならクレジットカード決済などが適しています。
ターゲットのライフスタイルと好みに合わせた決済方法を提供することで、利用者の利便性を高め、売上向上につなげることができます。
導入コストで選ぶ
ECサイトにおける決済方法の選択において、導入コストは重要な要素の一つです。各決済会社ごとに手数料や初期費用が異なります。
事業規模や売上予測に合わせて、費用対効果を計算しましょう。低コストで導入できるものもあれば、高品質なサービスを提供するために多少の投資が必要な場合もあります。
慎重に検討し、予算内で適切な決済方法を選ぶことが成功の鍵です。
サポート体制で選ぶ
最後に、決済会社のサポート体制を確認することは重要です。トラブルが発生した場合や新たな機能を追加したい場合、適切なサポートがあれば問題の解決が迅速に行えます。
24時間のカスタマーサポートやテクニカルサポートが提供されるかどうか、そしてその品質を確認しましょう。信頼性のある決済会社は、長期的な協力関係を築く上で不可欠です。
ECサイトにID決済を導入する方法
これまでID決済のメリットと注意点を踏まえた上で、ECサイトによく使われているID決済4つを、ご紹介しました。最後にID決済の導入方法について解説していきます。
ID決済を導入する方法は、大きく2つあります。
- 提供企業と直接契約する方法
- 決済代行サービスを利用して導入する方法
オススメは、2の決済代行サービスを利用する方法です。
なぜなら、各決済サービスを提供する企業と直接契約すると、専門的な知識が必要かつ導入コストも大きく掛かってくるからです。決済代行会社を利用すれば、専門的な知識がなくとも導入ができ、もちろん手間を抑えることが出来ます。
また決済代行サービスを利用すれば、提供してくれる管理画面で複数の決済管理を行うことができるため業務効率を向上させることが可能です。決済代行会社を利用するメリットは、大きいですね。
ECサイトにID決済を導入してみよう
これまで話したように、ID決済を導入すれば
- 顧客情報を入力する手間が省ける。
- スムーズに購入が出来る。
など購入者にとってのメリットが多く、カゴ落ちのリスクを減らしてくれたり、ECサイトのコンバージョン率改善に繋がります。注意点はしっかり理解し、ID決済のメリットを享受しましょう。
「クレジットカード払い」「コンビニ決済」が利用率の上位を占めているからといって、ID決済を疎かにすると、売上損失にも繋がります。
ECサイトを運営している方は、ぜひID決済の導入を検討してみて下さいね。