Amazon出品で最初に迷うのが「大口出品」か「小口出品」か、2つの選択肢でしょう。
ECサイトを構築して利益を出すためには、売れる仕組みを最大限に活用する必要があり、そのためにはセラーに有利な複数の機能を活用できる大口出品を選ぶのがおすすめです。
具体的にAmazonの大口出品と小口出品では何がどう違うのか、売り上げにどう影響するのか気になるところでしょう。
このページでは、Amazonの大口と小口、2つの出品プランを比較しながら、それぞれの違いを詳しく分かりやすく紹介します。
ECサイトを始める最初のステップで判断を間違えないように、プランの違いを把握して選びましょう。
Amazon大口出品と小口出品の違いをまとめて比較
Amazonの大口と小口の違いを以下一覧にまとめました。
比較項目 | 大口出品 | 小口出品 |
---|---|---|
基本手数料 (税抜) | 月額登録料4,900円(税抜) | 商品1個あたり 基本制約料100円(税抜) |
発生する費用 | 月額登録料+商品ごとの販売手数料 | 1個あたりの基本手数料+商品ごとの販売手数料 |
FBAの利用 | ◯ | ◯ |
ショッピングカートの獲得 | ◯ | ✕ |
検索結果上位等の掲載 | ◯ | ✕ |
配送料設定 | ◯(メディア商品以外) | ✕ |
一括出品ツールの利用 | ◯ | ✕ |
注文管理レポートの利用 | ◯ | ✕ |
在庫管理レポート等の利用 | ◯ | ✕ |
マーケットプレイスWebサービス(MWS)の利用 | ◯ | ✕ |
提供可能な決済方法 | クレジットカード Amazonポイント Amazonギフトカード 代金引換 コンビニ・ATM・ネットバンキング・電子マネー払い 携帯決済 請求書払い | クレジットカード Amazonギフトカード あと払い(ペイディ) 携帯決済 請求書払い |
Amazonカタログの追加 | ◯ | ✕ |
追加カテゴリー出品申請 | ◯ | ✕ |
マケプレプライムの利用 | ◯ | ✕ |
テクニカルサポートへの問い合わせ方法 | Eメール 電話 チャット | Eメールのみ |
Amazon Businessへの出品 | ◯ | ✕ |
広告掲載 | ◯ | ✕ |
複数ユーザーでのアカウント利用 | ◯ | ✕ |
Amazon出品では、セラーセントラルという出品者用の管理画面を利用できるのですが、大口と小口では、利用可能なサービス等の範囲が異なります。
Amazon出品の大口と小口の違いをサービスごとに徹底比較
続いて、大口出品と小口出品では、具体的にどのように違うのかサービス別に詳しく見ていきましょう。
出店料
Amazonで出品する場合は、以下の2つの選択肢があります。
- 月額固定費4,900円(税抜)を支払って複数の商品を出品する大口出品
- 固定費無料で1点売れるごとに基本手数料100円(税抜)が発生する小口出品
これらが基本手数料となり、このほかに商品が売れるごとに販売手数料が加算される仕組みです。
大口出品では、商品の販売数に関わらず、固定で月額4,900円(税抜)請求されます。
一方、小口出品かつ自社発送の場合は、商品が売れなければ一切費用は発生しません。売れたときに、商品1点あたり100円(税抜)の基本手数料と販売手数料が別途加算される仕組みです。
そのため、手数料だけで判断するのであれば、月の商品販売個数が49個がボーダーラインとなるでしょう。
ただし、大口と小口では利用できるサービス内容が異なるため、一概にこの手数料のみで判断するのが正解とは限りません。
FBAの利用
Amazon倉庫に商品を納品しておけば、Amazonが商品の販売から決済、発送、返品等をまとめて代行してくれる「FBA(フルフィルメント by Amazon)」は、大口出品でも小口出品でも利用可能です。
FBAの利用でも、基本の大口4,900円(税抜)と小口1商品あたり100円(税抜)の基本手数料は同じで、FBA販売手数料等が別途発生します。
ただし、大口出品の出品販売における優遇措置が小口出品では対応していないケースが多く、同じFBA利用でも売れ行きが大きく変わってきます。
ショッピングカートの獲得
Amazon出品では、ショッピングカートを獲得できるかどうかが売り上げに大きな影響を与える要素の1つ。
大口出品ではショッピングカート獲得が可能ですが、小口出品ではそのチャンスは得にくいです。
商品詳細ページを開き商品を購入する際、多くのユーザーはそのページからカートに入れるボタンをタップします。
Amazonで1つの商品を複数の出品者が出品している場合、そのいずれかのセラーの商品がカートを獲得し、商品ページに表示される仕組み。ショッピングカートを獲得していると、ユーザーに購入してもらえる確率が格段にアップするのです。
Amazonでカートが獲得できないと出品商品を見つけてもらえる可能性も低くなり、結果的に商品が売れにくいということになり、小口出品の大きな弱みとなります。
検索結果上位等の表示
ユーザーがAmazonで商品検索したときに、出品が上位に表示されると露出も増え、ユーザーに見つけてもらえる可能性が高まりますが、これも大口出品が優先的に受けられる恩恵です。
もちろんすべての大口出品者の出品が検索上位に表示されるわけではありませんが、大口出品でなければそのチャンスが極めて低くなってしまいます。
小口出品では検索結果で上位表示されたり、商品詳細ページに表示される機会が得られにくいのです。
配送料設定
Amazon大口出品の場合、メディア商品(本、ミュージック、ビデオ、DVD)以外の商品については、出品者が自由に配送料を指定できます。
一方、小口出品では、全商品でAmazonが決めた配送料金が適用され、実際の配送料のほうが高かったとしても送料の変更は不可。商品価格で収益を調整するしかありません。
一括出品ツールの利用
大口出品では、Amazonが提供する一括出品ツールを利用して効率的に出品作業を行うことが可能ですが、小口出品ではこのツールが利用できません。
小口出品の場合、商品ごとに出品登録をしなければならないので、大口出品と比較して効率面で劣ります。
各種レポートの利用
Amazon大口出品では、販売効率や在庫効率をアップするための様々な分析レポートを利用できます。
小口出品では、大口出品のセラーが得られるような詳細かつ有益なレポートを入手することはできません。
ECサイトで収益をアップさせるには、日々の分析と問題点の把握・改善が欠かせませんので、Amazonによる分析レポートが利用できないのはもったいないですね。
MWS利用
MWSとは「マーケットプレイスWebサービス」のことで、こちらも大口出品でのみ利用可能。MWSの活用は、販売効率や業務効率の向上に役立ちます。
例えば、AmazonAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)を利用して、出品商品の一括登録や更新処理を行ったり、最安値情報を取得したりするためのシステム構築等も可能となります。
購入者に提供できる決済方法
Amazonの大口出品と小口出品では、利用できる支払い方法も異なります。
大口出品者は、Amazonが提供する以下の決済方法をすべて利用できます。
- クレジットカード
- Amazonポイント
- Amazonギフトカード
- 代金引換
- コンビニ・ATM・ネットバンキング・電子マネー払い
- 携帯決済
- 請求書払い
小口出品者の場合は、以下の決済方法に限定されます。
- クレジットカード
- Amazonギフトカード
- あと払い(ペイディ)
- 携帯決済
- 請求書払い
ただし、FBA利用の場合は、小口出品でもAmazonが提供する全決済方法の利用が可能です。
決済方法のニーズは、多種多様。ネットショッピングで希望の決済方法がない場合に購入を諦めたり、他のショップから購入したりするユーザーは、全体の60%以上といったデータもあります(「SBペイメントサービス株式会社」調べ)。
Amazonの小口出品では、利用者ニーズの高いコンビニ払いや電子マネー決済が利用できないことから、カゴ落ちにつながりやすく、大きく不利になる可能性があります。
Amazonカタログの追加
Amazonでは、どの商品もAmazonカタログが作成されており、カタログごとに出品登録を行う仕組みになっています。
例えばオリジナル商品など、Amazonカタログが作成されていない商品を出品する場合は、新規でカタログを追加する必要があるのですが、大口出品者でなければカタログの追加ができません。
小口出品では、既存のカタログに相乗りで出品する方法しかないわけです。
そのため、自社のオリジナル商品や既存のカタログにないセット商品等を販売する場合は、大口出品一択となります。
Amazonのカタログ作成について、詳しくは以下の記事を参考にしてください。
追加カテゴリー申請
Amazonでは出品許可が必要となるカテゴリー商品があり、所定の申請手続き(追加カテゴリー申請)をしたうえで審査を通過しなければ、該当商品をAmazonで取扱うことができません。
追加カテゴリーについての申請ができるのは大口出品のみですので、出品許可が必要な商品を取扱う場合は、大口出品での申請手続きを行う必要があります。
マケプレプライムの利用
マケプレプライムとは、マーケットプレイスの自社発送でもプライムマークを表示させられるAmazon出品のプログラムのこと。
プライムマークとはAmazonが出荷する出品に表示されるマークで、マーケットプレイスのFBA利用で出品している商品にもプライマークが表示されています。
プライムマークの商品はAmazonが迅速に発送してくれること、プライム会員の配送特典の対象となることなどから、ユーザーからの信頼も厚く、選ばれる要素の1つでもあります。
通常、自社発送の商品にはプライムマークが表示されませんが、マケプレプライムを利用すれば表示させることも可能。
マケプレプライムに登録している出品者は、配送時間等Amazonが設定している要件を満たす必要があるのですが、そもそもの参加資格として大口出品者であることが必須となっており、小口出品では利用できません。
テクニカルサポートへの問い合わせ方法
Amazonの出品で問い合わせが必要となった場合は、セラーセントラルからテクニカルサポートという問い合わせ窓口を利用できます。
大口出品者の場合は、
- Eメール
- 電話
- チャット
これら3つの方法で問い合わせできるのですが、小口出品の場合はEメールのみ。出品で分からないことやトラブル発生等で問い合わせするときは、メールでは質問しにくかったり、長文になってしまったりする場合もあるでしょう。電話での問い合わせが利用できないのは、不便ですね。
Amazon Businessへの出品
Amazonの法人向け出品販売「Amazon Business」はBtoB-ECでの出品で、これを活用できれば、販路や販売の規模の拡大が可能となり収益拡大にも貢献してくれます。
Amazon Businessでの出品は、大口出品での契約が必須です。
広告掲載
Amazonで商品検索をしていると、ページのトップ等に「スポンサー」と表示のある商品が表示されます。
Amazonの広告を利用すると、このように出品商品がユーザーの目に留まりやすくなります。
Amazon出品者が出品の広告を掲載するには、大口出品かつ優良なパフォーマンスを維持していることなどが条件となっています。
複数ユーザーでのアカウント利用
Amazonの出品を複数人で管理する場合、Amazonの大口出品ではユーザー権限の機能が利用可能。編集ができたり、表示させるだけだったり、権限種類ごとにユーザーの登録ができます。
一方、小口出品ではユーザー権限の機能は利用不可となっています。
ここまで各種サービス等について解説したとおり、Amazonの小口出品では大口出品と比較して、大きく機能が制限されています。
出品する商品によっては、大口出品一択となるケースもありますが、ECサイトビジネスに本格参入するのであれば、大口出品が断然おすすめです。
続いて、大口出品がおすすめな理由についても解説します。
ECサイト運営にAmazonの大口出品がおすすめな3つの理由
Amazon出品で小口より大口での出品をおすすめする主な理由は、以下の3つです。
- 商品が売れやすい
- 費用対効果が高い
- 業務効率化できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
商品が売れやすい
Amazonはたくさんのユーザーが利用しており、そこに出品するということは、いわば賑わっている商店街に出店するようなものです。
例えば自社サイトを0から構築して集客するには、SEO対策やSNSでの情報拡散等、様々に手を尽くし、コストを投じる必要があるでしょう。
ですが、Amazonには購入を検討しているユーザーが24時間365日、次々と訪れています。
Amazonに出品すれば、集客の手間や広告費等を最小限に抑えて、ECサイトの運用が可能となるわけです。
Amazonの知名度で商品が売れやすいのは、大きな魅力。大口出品では、このAmazonの看板にプラスして、様々なバックアップをしてもらえるのですから、利用しない手はないでしょう。
費用対効果が高い
Amazonでは、大口契約で毎月4,900円(税抜)と非常にリーズナブルな価格で出品を始められます。
販売手数料等は発生しますが、大口出品でカート獲得などメリットを最大限に活用できれば、その費用対効果もさらにアップします。
業務効率化できる
Amazonの大口出品では、一括出品ツールの利用や各種レポートの取得で、それぞれにかかる業務を効率化できます。
Amazon出品でECビジネスの収益性をアップしていくためには、正しい分析データを基に問題点を見極め、改善しながら戦略を検討し、トライ&エラーを繰り返し実践していくことが重要です。
ECサイトへの出品業務を効率的に行い、重要なサイト改善等に必要な時間や労力・コストをかけて、さらなる売り上げアップを目指していきましょう。
Amazon出品における戦略等でお悩みの際は、ECサイト運営代行会社にご相談いただければ、サイトごとの分析を行ったうえで最適な改善プランのご提案が可能です。ECサイト運営のプロにお気軽にお問い合わせください。
大口出品と小口出品どちらを選ぶのが正解?
最後に、ここまで紹介してきた情報をもとに、Amazon出品の大口に向く出品者、小口に向く出品者をそれぞれまとめました。
大口出品はこんな出品者に向いています
Amazonの大口出品は、以下のような出品スタイルに向いています。
- 毎月50点以上の商品を継続的に販売したい出品者
- Amazonカタログにないオリジナル商品を販売したい出品者
- Amazonで出品許可が必要なカテゴリーの商品を販売したい出品者
- Amazonで少しでも優位に販売してECビジネスを加速させたい出品者
- Amazonの販売力を最大限に活用したい出品者
小口出品者はこんな出品者に向いています
小口出品は、以下のような出品スタイルに向いています。
- 固定費の負担を避けたい出品者
- 毎月50点以上の販売を見込んでいない出品者
- オリジナル商品や出品申請が必要な商品を販売する予定のない出品者
小口出品はお試しでAmazon出品をしてみたい方に向いていますが、小口より大口出品のほうが格段に売れやすいため、売れ行きの面では参考にならないでしょう。
ECビジネスに本格参入するのであれば、最初から大口出品での参入がおすすめです。