OEMとは「Original Equipment Manufacturer」の略称で、メーカーが他社ブランド製品を生産すること、もしくは生産するメーカーのことをいいます。
OEMには、自社ブランド商品の製造をメーカーや工場に委託するケースと、メーカーが企画した商品をブランド名で製造するケース、2つのパターンがあります。
このページでは、自社ブランド商品の製造をメーカーや工場に委託するパターンのOEMについて、やり方や工場の探し方、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
独自の商品開発でライバルとの差別化を図り、ロングセラー商品を生み出していきましょう。
OEMの選択肢
OEMには、主に以下のような選択肢があります。
- 日本国内のOEM
- 中国輸入のOEM
- 簡易OEM
OEMは、中国輸入で物販を行うセラーの多くが採用している手法ですが、日本国内のメーカーや工場に依頼して商品を開発することも可能です。もちろん中国以外の海外でOEMしているセラーもいます。
また、国内製品か海外製品かを問わず、既製品にロゴ入れやタグ付けをすることでオリジナルブランドとする簡易OEMという方法もあります。
まずは一般的なOEMのやり方から見ていきましょう。
OEMのやり方
メーカーや工場に依頼してオリジナル商品を製造するOEMの場合は、以下の手順で開発を進めていきます。
- リサーチ
- 販売戦略
- 商品設計
- OEM対応の工場選定
- 工場への見積もり依頼
- サンプル発注
- 試作品の納品・確認
- 商品化
- 納品・検品
- 販売
それぞれの手順を詳しく見ていきましょう。
リサーチ
商品を開発するにあたって、以下の必要な情報をリサーチします。
- 商品
- 競合
- 市場
類似商品が多く出回っていたり、価格競争になったりしていないか、どの程度の販売が見込めるか、といった状況を念入りにリサーチして、OEMで製造する商品を決定します。
販売戦略
OEMで開発する商品をどのように販売促進していくか、ブランディングや集客方法を事前にしっかりと検討しておきます。
思いつきや、戦略なしで商品を開発しても、成功は難しいでしょう。
商品設計
メーカーや工場にOEM商品の製造依頼をするには、商品設計が必要です。
使用する原料や商品デザイン、サイズ等の詳細を決めて、設計書・仕様書を準備します。
OEM対応の工場選定
商品の設計や仕様が完成したら、次はOEM対応が可能なメーカーや工場を複数ピックアップします。
一社のみではなく、複数社を選定しておきましょう。
工場への見積もり依頼
工場を選定できたら、設計書や仕様書を基にOEMの見積もりを依頼します。
見積もりでは、以下のような情報が得られます。
- 単価
- サンプル費用
- 納期
- 最小ロット
- その他の費用
複数社に見積もり依頼することで、こうした費用はもちろん、対応の質やスピード感も比較できるので、選択する際の参考になるでしょう。
サンプル発注
見積もりの結果、選択した工場にサンプル品の製造を依頼します。
希望通りのサンプルが仕上がるように、細かな点もしっかりと伝えておきましょう。
中国輸入OEMの場合には、言語や表現、文化の違いがあり、意思疎通が難しいため、日本人スタッフがいる、もしくは日本語が堪能なスタッフが対応してくれる代行会社を選ぶと安心です。
試作品の納品・確認
試作品が完成したら、依頼したとおりに製品化されているか確認します。
要望通りでなかった場合には、問題点を具体的に伝えてサンプルの修正を依頼。希望どおりに修正されるように再度依頼をして、完成度を上げていきます。
本納品されれば全て自社の在庫となりますので、問題点があればしっかりと伝えて解消しておきましょう。
商品化
サンプル品が完成したら、次は本発注です。
本発注での価格や納期等も改めて確認した上で、商品を発注します。
中国輸入OEMの場合は、本納品時に追加コストが発生することもあるので、しっかりと事前確認しておくことをおすすめします。
納品・検品
OEM商品が納品されたら、検品を行います。
サンプル品と相違がないか、可能な範囲でチェックしましょう。
販売
OEM商品が納品されたら、いよいよ販売です。商品出品のための画像も用意しておきましょう。
ECプラットフォームに商品ページを設置し、SNSやショップブログ、メルマガ、広告等を活用して、少しでも多くのユーザーに認知してもらえるよう、情報を拡散します。
ECサイトでオリジナル商品の販促がうまくいかないときは、ECサイト運営のプロにお気軽にご相談ください。
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簡易OEMのやり方と注意点
ここまでOEMのやり方を解説してきましたが、商品設計を1から考えていくOEMは、初心者にはかなりハードルが高いでしょう。
初めてOEMでオリジナル商品を製造する際は、既製品にロゴ入れやタグ付けを行う簡易OEMがおすすめです。
簡易OEMのやり方
既に商品は完成しているので、高額な開発コストをかけずに比較的簡単にオリジナル商品を作成できます。
ロゴやタグとして使用するデータを用意し、工場にロゴ入れやタグの縫い付けを依頼するだけですので、ハードルも低め。簡易OEMのやり方は、先に解説した「OEMのやり方」とほぼ同じです。
商品や市場をリサーチして販売戦略を決め、工場を選定して見積もりを依頼。サンプル発注をして試作品が完成したら、商品化して納品してもらいます。
簡易OEMの注意点
簡易OEMであれば、ロゴやタグだけでオリジナル商品として販売できるので非常に手軽ですが、販売先によっては注意が必要です。
例えばAmazonでは、以下のような規約があります。
ノーブランド品に対し、不適切に商標を付して商品画像に掲載する行為、および、ブランドとの不適切な関連付けの言葉を商品詳細ページに含める行為:
引用:Amazon seller central「出品者の禁止活動および行為、ならびに遵守事項」
出品者が保有している商標を、恒久的でない方法(例:シール、ラベル、タグ等を貼付する)でノーブランド品に付して商品画像を掲載することは原則禁止されています。また、ノーブランド品(シールの貼付等恒久的でない方法で商標が付されたものも含む)の商品詳細ページにおいて、出品者が保有している商標に言及すること(商品名に商標を付すことを含む)は禁止されております。Amazonは、本規約に抵触する商品、商品ページ、または商品画像を削除もしくは修正する権利を留保します。
ここに記載があるとおり、「恒久的でない方法」でのロゴやタグ付けでは、不適切な商標と判断されます。
恒久的とは「ずっと変わらず同じであること」であり、簡単に除去できるシールやラベル、タグの貼付だけではNGなのです。Amazonで簡易OEM商品をオリジナルで販売する際は、タグの縫い付けやロゴのプリント等、恒久的な方法での商標表示が必要です。
OEMでの工場の探し方
OEMに対応した工場を探すには、以下の方法があります。
- インターネットで検索
- 展示会に参加
- Alibabaで検索
これらの方法で候補となる工場を複数ピックアップしましょう。
インターネットで検索
インターネットで「OEM 工場 (商品ジャンル)」「OEM メーカー (商品ジャンル)」等で検索すれば、OEMに対応可能な工場やメーカーのサイトがヒットします。
商品ジャンルとしては日用品や家電、化粧品、食品、アパレル、自動車などが挙げられます。
展示会に参加
OEMの商談の機会となるOEM展示会に参加すれば、様々なOEM対応企業をまとめてチェック可能。
OEM展示会の開催情報については、「OEM 展示会」等のワードで検索できます。
日本でも海外でもOEM展示会は開催されており、日本開催のOEM展示会に中国など海外の企業が参加することもあります。海外に赴き、現地の展示会に参加するのもいいでしょう。
Alibabaで検索
中国輸入OEMの場合は、Alibabaが提供するBtoB-ECの卸売サイト「Alibaba.com」または「1688.com」で検索する方法があります。
「Alibaba.com」は世界に向けたサイトで英語でのコミュニケーションが可能ですが、送料が高く、検品サポートがないことが難点。「1688.com」は中国国内向けのサイトですが、「Alibaba.com」より安く仕入れ可能で、トータルコストを抑えるのにもおすすめです。
中国国内向けサイトから仕入れをするには、中国の銀行口座開設が必須ですが、そのためには中国に長期滞在できるビザが必要であり、簡単に用意できるものではありません。そのため、輸入代行会社を通してのやり取りが一般的です。代行会社を通して輸入することで、検品にも対応してもらえます。
こうした理由から「1688.com」を選択して、輸入代行会社を利用するのが賢い選択といえます。
「1688.com」で商品を検索して、画面上にある①ショップ名にカーソルを合わせると、以下のとおりショップ情報が表示されます。②の「经营模式」欄で「生产厂家」と記載されているのがメーカーで、OEMにも対応可能です。評価の高い優良企業を選択しましょう。
中国輸入で代行会社を選択する際は、信頼性の高い業者を選ぶことも重要です。
OEMのメリット
続いて、OEMでオリジナル商品を開発するメリットをチェックしていきましょう。
- ユーザーニーズに添った商品を生み出せる
- 製造設備をもたずに商品を製造できる
- 商品企画や販売施策に専念できる
- 相乗りや価格競争防止になる
それぞれのメリットを解説します。
ユーザーニーズに添った商品を生み出せる
OEMでは自社の商品企画で製造を依頼するため、ユーザーの声を反映させたものづくりが可能です。
OEM商品の販売が軌道にのれば、バリエーションを増やしたり、機能を追加して上位モデルを作ったりして、ブランド力を高めていくことも可能です。
多く発注できるようになれば、仕入れ単価も安く抑えられるなど好循環を生み出します。
製造設備をもたずに商品を製造できる
商品を製造するためには相応の設備が必要であり、設備を整えるとなれば多大な導入コストがかかります。
OEMで製品化すれば、設備を導入する必要もなく商品開発が可能。大切な予算を商品開発に投入できます。
商品企画や販売施策に専念できる
OEM商品が売れるようになれば、追加発注しながら販売していくだけで手間がかからず、新たな商品企画や販売施策に専念できます。
相乗りや価格競争防止になる
Amazon出店では、同一の商品を1つの商品カタログで販売する「出品型」の出品になります。1つの商品カタログに複数の出品者が並び、価格の安い大口出品者が優先的にカートに入る仕組みです。
そのため、価格競争が起きやすいことが難点なのですが、OEMでオリジナル商品を開発すれば、相乗りを防止できます。
同一商品のライバルを寄せ付けず、自由な価格設定で販売できるわけです。
OEMのデメリット&注意点
OEMで商品開発するには、デメリットや注意点もあります。マイナス面も把握したうえで、OEMを検討しましょう。
- コストがかかる
- 難易度が高い
- 0からのスタート
- 商品開発に時間がかかる
- ライバル皆無とは限らない
- 中国輸入OEMはトラブルが多い
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コストがかかる
OEMで商品開発を行うためには、1商品ごとに開発費用がかかります。既製品を仕入れるケースとは異なり、初期費用の負担が大きくなります。
OEMでかかるコストとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 商品製造
- ブランド名考案
- ロゴ作成
- JANコードの取得
- パッケージ
- ロゴ入れ
- 説明書作成
- 商標登録
商品製造に関しては、商品や原材料等によって大きく変動しますが、数十万円から数百万円といった単位で資金が必要となることもあります。
ブランド名考案やロゴ作成、説明書作成については、クラウドワークス等の利用でそれぞれ数千円から数万円で依頼可能です。
JANコードを取得するには、GS1事業者コードの登録が必要で、年間売上1億円未満の事業者の場合、初期申請料として11,000円、登録管理費として1年払いなら6,050円、3年払いなら16,500円と、トータルで数万円かかります。
パッケージやロゴ入れは、メーカーや工場に依頼して1点あたり数十円~数百円で対応してもらえます。
商標登録については自身で手続きしたとしても30,000円ほどですが、出願手続や登録手続が複雑で、素人が簡単に処理できるものではありません。弁理士に依頼する場合は10万円以上かかるケースもあります。
商標登録済みの商品は、Amazonブランドに登録可能です。Amazonブランド登録について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
難易度が高い
OEMで商品開発をするには、売れる商品や競合、市場調査など徹底したリサーチもコストも必要で、一定の知識がなければ難しいものです。
ECサイト運営初心者には、かなりハードルが高いといえるでしょう。
最初は簡易OEMで、小ロットから試していくのがおすすめです。
0からのスタート
オリジナル商品の出品は、誰にもその存在を知られていない状態からスタートします。
既に知名度のある商品であれば一定数の需要は見込めますが、OEMによる新規商品は、全くのゼロからのスタートになるわけです。相乗り出品より、かなり不利な状況からのスタートになります。
商品が検索されなければ売れることもありませんので、販売戦略が欠かせません。
商品開発に時間がかかる
OEMでは、商品化までに多くの時間を要します。
販売までに時間がかかるということは、資金回収までに時間を要するということであり、資金にもゆとりがないと厳しいでしょう。
ライバルが皆無とは限らない
OEM商品を開発できれば独占販売ができますが、需要が増えてくれば類似商品が出回ることもあります。
類似商品が増えれば、それらの商品同士で価格競争に発展する可能性もあります。
OEM商品の販売でも、ライバル商品などの競合調査や対策が欠かせません。
中国輸入OEMはトラブルが多い
中国輸入によるOEMでは、言語や文化の違いから驚くようなトラブルが発生することがあります。
例えばサンプル品として納品されたものと実際の商品のクオリティが大きく異なっていたり、依頼した色やサイズが異なっていたり、不良品があったりと、トラブルも珍しくありません。
中国輸入OEMでオーダーする際は、具体的な数字や指示書を提示するなど、トラブルを回避する対策が必要です。
OEM成功のコツ
OEMによる商品開発は、ハードルが高めで初心者向きではありません。まずは一般的な商品を販売して、ECサイト運営の経験を積むことから始めるのがおすすめです。
最後に、OEMで成功するためのコツも押さえておきましょう。
- 類似商品の多いジャンルは避ける
- 通年販売できる商品を狙う
- 集客に注力する
- 小ロットの簡易OEMから始める
- 相見積もりで比較検討して工場やメーカーを選ぶ
- 商品発注は具体的かつ詳細に内容を示して依頼する
- 海外製品は日本語の説明書を付ける
1つずつ詳しく解説します。
類似商品の多いジャンルは避ける
既に類似商品が多く出回っていたり、価格競争になっていたりするジャンルには将来性がありません。
OEMで商品開発している間に、全体的に価格が下落する可能性が高く、リスクも高まります。
よほどの差別化ができる場合でなければ、当該ジャンルを回避するのが得策でしょう。
通年販売できる商品を狙う
OEMでコストをかけて商品開発するからには、資金回収の面から考えても、通年売れる商品を検討したいところです。
季節商品やイベントに合わせた商品は、OEMの複数商品が一定数売れるようになってから検討するといいでしょう。
集客に注力する
OEM商品はゼロからのスタートですので、認知度を高め、ブランディングしていくことが重要です。
SEO対策はもちろん、SNSや広告運用で知名度を上げてファンを増やしていく施策が求められます。
小ロットの簡易OEMから始める
OEMによる商品開発は難易度が高いので、最初はロゴを入れたり、タグを付けたりするだけでオリジナリティを出せる簡易OEMから始めるのがおすすめです。
小ロットではコストがかかりますが、不良在庫を抱えるリスクにも備えておきたいところです。
相見積もりで比較検討して工場やメーカーを選ぶ
OEMメーカーも多種多様で、コストはもちろん、対応の質やスピード感も異なるものです。
OEMで工場を選ぶ際は、必ず相見積もりで複数社を比較しましょう。
中国輸入OEMでは、工場はもちろん、代行会社もしっかり比較検討することが重要です。
商品発注は具体的かつ詳細に内容を示して依頼する
OEMで商品サンプルを発注する際は、具体的な数字で詳細を指示するなど、発注者と受注者の間で齟齬が生じないように情報をまとめて依頼しましょう。
日本国内でも齟齬が生じる場合がありますが、中国輸入OEMでは言語や文化の壁があり、より正確な指示が求められます。
海外製品は日本語の説明書を付ける
OEMで海外製品を販売する場合は、日本語の説明書を付けましょう。
説明書を付けるだけで差別化になり、相乗り防止にも役立ちます。
OEMで独自商品を生み出そう
オリジナル商品を生み出せるOEMを活用すれば、相乗りを防ぎ、価格競争にも巻き込まれにくい環境を構築できます。
ECサイトでライバルとの差別化を図るための一案として、検討してみてはいかがでしょうか。