楽天市場で競合ショップより多く集客し、収益を上げていくためには、自社の強み・弱みを知ることが重要です。そのために、競合調査は非常に重要なのです。競合調査は手間や時間、コストがかかりますが、徹底的に競合調査を重ねることで初めて見えてくることもあります。
ここでは競合調査で見るべきポイント、チェックすべき競合店、データの分析方法等について詳しく解説します。有益な競合調査の実施で、楽天市場の売上アップを手堅く実現していきましょう。
競合調査で優先すべき重要ポイント
競合調査実施にあたっては、「ユーザー視点」「顧客ニーズ」を押さえておくことが非常に重要です。
売り手の立場ではなく、徹底的に商品を買ってくれるユーザー側の視点に立つ必要があるのです。
なぜユーザー視点に立つ必要があるのかと言うと、日々様々に変化しているEC市場で、ユーザーがどのような目線で商品を検索し、購入を検討・決断しているのか分からならければ、せっかくの競合調査も十分な効果を発揮しないためです。
しかしながら、楽天の店舗運営システム「RMS(Rakuten Merchant Server)」には、それらの情報を調査できる競合分析ツールや機能がありません。
楽天市場の競合調査のリサーチポイント
楽天市場で売上を向上させるために競合調査で見るべきポイントは、以下の4つです。
- ユーザーニーズ
- ユーザー体験
- 競合ショップの運営状況
- イベント時の競合ショップの動き
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ユーザーニーズ
売上アップを実現させるための競合調査では、顧客の思考を把握しているかどうかが、非常に重要です。
例えば楽天ランキングを毎日リサーチすることで、ユーザーニーズのトレンドや変化だけでなく、キーワードやキャッチコピーのヒントになります。競合商品のレビューをチェックすれば、ユーザーが何を求めてどこに満足しているのか、不満点はどこにあるのかといった情報収集にもなり、商品開発や改善に役立ちます。
商品のカラーバリエーションで人気の高い売れ筋はどの商品か、在庫切れとなっている商品も競合調査の参考になるでしょう。
ユーザー体験
ECサイトでは、実際に買ってみなければ分からないことも多々あります。
競合調査では、実際に楽天市場で商品を購入してみて、顧客と同じ購買体験をすることも重要です。
楽天市場で競合商品を実際に購入してみることで、以下のような情報を実体験として把握できます。
- 商品の価格や送料の分かりやすさ
- 購入までのリンク導線
- 商品バリエーションの提供の仕方、選びやすさ、選択肢の数
- 配送時の梱包や同梱チラシ
- 商品のクオリティや使用感・素材感
- 画像との相違
- アフターサービス
- フォローメールやメルマガ
目視だけでキャッチできる情報もありますが、実際の購入体験でしか分からないこともあるもの。実際に競合商品を購入して得られる体験は、顧客満足度やリピート率向上の参考要素となる可能性がありますし、自社の強み発見につながる可能性もあります。
★記事リンク 楽天市場 集客 課題
競合ショップの運営状況
楽天市場の競合調査では、競合の商品ページやショップページを入念にチェックし、以下のような項目を徹底的に調査します。
- ショップページの構成
- ユーザーの目を引く特徴
- 商品ジャンルやラインナップ
- 新商品投入状況
- 商品価格やオファー
- ポイント還元
- 送料無料での対応状況
- あす楽の対応状況
- 付帯サービスの有無・内容
- 自然検索での表示順位
- RPP広告の利用状況・掲載状況
これらの項目をくまなくチェックし、それぞれを具体的に言語化し、社内で理解・共有できるように可視化しましょう。
イベント時の競合ショップの動き
楽天市場では、常時各種セールが開催されています。例えば「お買い物マラソン」や「楽天スーパーSALE」で競合店がどのような施策を行っているのか、イベント時の競合調査は特に重要です。
楽天市場のセールイベントでは、多くのショップが売上アップの戦略を打ち出しています。自社のセール準備も重要ですが、セールがスタートしたら競合他社のリサーチも実施しましょう。
イベント時には主に以下の項目をチェックして、競合店のイベント施策の把握に努めます。
- 価格
- ポイント付与率や割引率
- クーポン配布状況
- メルマガでの告知状況・発信の件名や内容
- ショップページでのイベント対応・誘導
- RPP広告の利用状況
競合調査を通常時とイベント時、それぞれに行うことで、競合店がどこに注力して施策を打ち出しているか、戦略が見えてきます。
楽天市場での競合店の選び方
楽天市場で競合調査すると言っても、競合店が多すぎてどのショップを選択するべきか迷うこともあるでしょう。そんなときは、目的から明確にする必要があります。
競合店を選ぶ前に目的を明確に
競合調査では、その目的を明確化しておかなければ効率の良い調査が実施できません。
競合調査の目的としては、以下のような例が挙げられます。
- 売上向上
- 商品価格やオファーの改善
- 商品ページの改善
- 自社サービスの改善
- 新規参入のための競合調査
- EC事業全体の見直し
このように、目的によって調査で着目すべき内容は異なります。まずはしっかりと目的を定めて、調査対象を絞っていきましょう。
競合店選びのチェックポイント
調査内容によって異なる場合がありますが、例えば売上向上のための競合調査では、以下のようなポイントを押さえて競合店を選択します。
- 同じ商品や類似商品を扱っている競合店
- 同じ市場や同じ顧客層をターゲットとしている競合店
- 市場シェアがトップの競合店
同じ商品のみに限定せず、類似商品やターゲット層が似ている競合店も調査対象となり得ます。目的に合った競合店を3~5社ほど選定し、情報を可視化していきましょう。
楽天市場での競合調査の流れ
楽天市場での競合調査を実施する流れは、以下のとおりです。
- 競合調査の目的を明確にする
- 競合調査の対象ショップを選定する
- 競合調査を行いExcel等に収集した情報詳細をまとめる
これらの調査で得た情報をそのまま参考にして自社と比較したり、戦略を検討していく方法もありますが、競合調査の結果を最大限に活用するためには、フレームワークを活用した分析方法についてもチェックしておきましょう。
競合調査を分析する
楽天市場での競合調査を行った後は、その結果を基に分析を行い、マーケティング戦略を検討しながら実施していくと、より有益かつ効果的に調査結果を活用できます。
競合調査の分析に役立つフレームワークは複数ありますが、ここでは「3C分析」と「SWOT分析」を組み合わせた分析方法について紹介します。
競合調査によって得た情報を可視化した後の3C分析とSWOT分析を活用した分析の流れは、以下のとおりです。
- 3C分析によって情報をまとめる
- SWOT分析で3C分析による情報を整理する
- クロスSWOTで戦略を立てる
これらの流れについて、それぞれ解説します。
3C分析で情報をまとめる
「3C分析」とは、以下の3つの要素で事実に基づいた情報を集めるためのフレームワークのこと。3要素の頭文字をとって、3C分析と呼びます。
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
各要素の内容としては、以下のような情報が挙げられます。
3C分析の3要素 | 内容 |
---|---|
市場・顧客(Customer) | ・市場規模 ・顧客ニーズ ・顧客の質や量 ・市場動向・成長性 ・市場環境 |
競合(Competitor) | 競合店の ・経営方針・コンセプト ・特徴 ・環境 ・戦略 ・顧客へのサービス提供 ・市場におけるポジション |
自社(Company) | 自社の ・経営方針・コンセプト ・特徴 ・環境 ・戦略 ・顧客へのサービス提供 ・市場におけるポジション |
3C分析では、これらの情報に予測や見解等は含めず、事実のみを記載していきます。ここで事実に基づかない推測データを入れると、戦略検討の際に見解を誤る可能性があるため、あくまでも実際の情報をまとめることがポイントです。
SWOT分析で3C分析による情報を整理する
楽天市場の競合調査から得た情報を3C分析に落とし込んだ後は、SWOT分析を行います。SWOT分析では、以下の4つの要素で情報を分類・整理していきます。
SWOTの4つの要素 | 分類 |
---|---|
強み(Strengths) | 内部環境におけるプラス要素 |
弱み(Weaknesses) | 内部環境におけるマイナス要素 |
機会(Opportunities) | 外部環境におけるプラス要素 |
脅威(Threats) | 外部環境におけるマイナス要素 |
クロスSWOTで戦略を立てる
SWOT分析で整理した情報は、以下の組み合わせで戦略を立てることに役立ちます。
- 機会(外部環境におけるプラス要素)×強み
- 機会(外部環境におけるプラス要素)×弱み
- 脅威(外部環境におけるマイナス要素)×強み
- 脅威(外部環境におけるマイナス要素)×弱み
SWOT分析で「機会(外部環境におけるプラス要素)」や「脅威(外部環境におけるマイナス要素)」に対して、自社の強みを生かして更なる成長を推し進めるか、もしくは「機会(外部環境におけるプラス要素)」を生かせるように自社の弱点を補強していくか、4つの戦略プランを検討。
これらの分析から、自社の改善ポイントや将来的に発生し得るリスクの把握が可能となります。
ただし、SWOT分析では、強みと弱みどちらとも取れる情報もどちらかに振り分けなければならない点には注意が必要です。
競合分析で活用されるフレームワークとしては、ほかにも「4P分析」「5フォース分析」「STP分析」等があります。自社に合った分析方法で、競合調査で得た情報を活用しましょう。
競合調査のメリット
競合調査を実施するためには、それに対応するリソースが必要ではありますが、以下のような情報を把握できるメリットがあります。
- 自社の強みや弱みの把握
- 差別化の検討材料の発見
- 未知の競合の発見
- 将来の競合の早期発見
- トレンドの把握・先取り
- 顧客ニーズの変化
- アプローチ方法の変化
自社の強みや弱み、差別化できる要素を把握することは、ライバルに打ち勝つためにも欠かせないポイントです。
競合調査は、自社のショップや商品、サービスを客観的にチェックすることにもつながり、自社の魅力や問題点など新たな認識を得られる可能性もあります。
EC市場もユーザーニーズも日々変化していますので、定期的に競合調査をすることでトレンドをキャッチしたり、古い情報を更新したり、新たなアプローチ方法を試したりすることに役立ちます。
競合調査のデメリット
競合調査は楽天市場に限らず、ECサイト運営では欠かせない調査といえますが、デメリットもあります。
- 調査の手間・時間・コストがかかる
- 効率的な調査を行い活用するには知識や経験も必要
競合調査は、目的の明確化から競合店の選別、項目チェックなど、その工数も少なくありません。
日々の業務に加えてこれらの調査を行うとなれば、リソース不足に陥る可能性もあり、人材を増やせばコストもかかります。競合調査のために通常業務が滞るようでは、本末転倒です。
競合調査に関するスキル不足で、目的を明確にしていなかったり競合店の選定で誤ると、成果を出すどころか調査自体が徒労に終わってしまいます。
リソース不足や競合調査のノウハウがないとお悩みの方は、ECサイト運営代行会社に相談する方法もあります。
ECサイト運営代行会社は、売れるECサイトを構築するプロフェッショナル。弊社では、楽天市場の運営コンサルも行っています。効率よく売上を向上させるためのプランでご支援いたしますので、お気軽にご相談ください。
自社商品やショップへのレビューも活用しよう
競合調査によって他社と自社の違いを把握し、強みを生かしたり改善することも重要ですが、忘れてはならないのは顧客からのレビューの活用です。
時には自社が注力・アピールしているポイントと、ユーザーが魅力に感じているポイントにずれが生じていることも。その場合は、ユーザーニーズにピントを合わせることで大幅に売上を向上させられる可能性があります。
自社の商品が選ばれた理由を把握することは、ショップの強みの把握にもつながります。顧客からの貴重なレビューを細やかにチェックして、改善に役立て、成約率の高いショップ・商品ページを構築していきましょう。
競合調査で楽天市場のライバルとの差別化を!
競合ひしめく楽天市場というECモールで売上を右肩上がりで伸ばしていくには、他社だけでなく自社の商品やサービスを客観視し、比較しながら「選ばれるショップ」「選ばれる商品」に成長させる戦略を実践・テストしていく必要があります。
競合調査で楽天市場のライバルを詳しくチェックすることで、それまでに見えていなかった自社の強みや弱み、改善ポイントの把握にもつながります。
目的に添った的確な競合調査で、パフォーマンスに優れたショップ構築を実現させましょう。