ECサイト運営ではリピート率を把握したうえで、さらに向上させるための施策も欠かせません。
リピート率とは、ユーザーがどれくらいの割合で継続利用しているかの割合を示す指標で、顧客の満足度が高いことを示す指標でもあります。
リピート率を把握するにはどのように計算すればいいのか。このページでは、リピート率の計算方法から、EC業界でリピート率が低い理由、数値改善のためにできることをまとめて解説します。
ECビジネスで売上を安定して伸ばしていくためにも、リピート率を把握して、的確な改善策を講じていきましょう。
リピート率の計算方法
まずはリピート率の計算方法から解説します。
基本となるリピート率計算方法
リピート率の計算方法は、以下のとおりです。
この式の「累計の全顧客数」は、ECサイトをスタートしたときからの全顧客数です。
特定期間でのリピート率計算方法
この計算式を基本として「リピートした顧客数の数」を月単位や年単位など、一定の期間の数値で当てはめて計算します。
特定の月のリピート率を調べたいときは、その月にリピートした顧客数を当てはめるわけです。累計の全顧客数については、必ずECサイトをスタートしたときからの全顧客数にして計算しましょう。
累計の新規顧客数が1,000人いて、そのうち特定月のリピーターが200人とした場合は、
の計算式となり、その月のリピート率は20%と算出できます。
期間指定なしのリピート率計算方法
期間の指定ではなく、例えば「2回以上リピートしている顧客数」の割合を出す場合であれば、以下の計算式でリピート率を計算可能です。
リピート率が下がる原因について
ここではリピート率が下がる原因について解説します。
- 自社商品・サービスに改善の余地がある
- 市場の競争率が高い
- リピーター獲得の施策が不足している
まずは下がる原因を理解して、その後リピート率を上げる方法を見ていきましょう。
自社商品・サービスに改善の余地がある
リピート率の低下には、製品やサービスに対する不満が影響しています。初回の購入時に不満を抱くと、リピート購入にはつながりません。
不満の原因はさまざまで、たとえば製品やサービスの品質が価格に見合わないという根本的な課題があるかもしれません。
また、問い合わせへの対応が遅いなど、サポート面に課題がある可能性も考えられます。こうした多様な不満が、リピート率の低下に寄与していると考えられます。
市場の競争率が高い
市場の競争率が高いとリピート率の低下に繋がります。ファッションや化粧品など、生活するうえで何度でも使用するようなものは、顧客が色々な商品を試したいという心理にかられます。
他にも当然ながら、自社商品やサービスに問題がなくても、競合がそれ以上のサービスを提供していれば顧客は他社に流れます。
市場の競争性が高いケースでは、オリジナリティのある訴求やキャンペーンなどでリピート率を上げる工夫が必要でしょう。
リピーター獲得の施策が不足している
施策の不足はリピート率に悪影響を及ぼすことがあります。よく見られるケースは「再購入を促すような施策がない」というものです。
商品やサービスの品質が高くても、こうした施策が不足しているケースは珍しくありません。
再購入を促進するためには、ポイントカードやクーポンの発行などの対策が効果的です。また、初回の利用から長い間を空けずに顧客が戻ってくるための施策を積極的に考え、実施する姿勢が重要です。
リピート率を上げるためにできる4つのこと
リピート率をアップするためにできることとしては、以下の方法が挙げられます。
- リピートにつながらない理由の分析・改善
- リピートによるメリットのアピール
- ファンを増やす
- 休眠顧客の掘り起こし
リピートにつながらない理由の分析・改善
リピート率が上がらない場合、問題点の分析ができれば、改善できます。
例えば
- サイトが見にくい
- 入力フォームに問題あり
- サポート対応に不満が多い
など、このような状況であれば、離脱も増えてしまいますし、リピートにつながらないのも理解できますね。これらの問題点を解消していくことで、数値が改善していく可能性が高いでしょう。
リピートによるメリットのアピール
リピートで利用してくれる購入者には、特別なメリットがあると喜ばれます。
ECサイトでよく見られるのは、以下のようなメリットです。
- ポイント付与
- クーポン配布
- 会員特典
- 会員限定キャンペーン・セール
- 会員ランクによる割引やプレゼント
こうしたサービスの導入ができていないようなら、課題として検討してみてはいかがでしょうか。
コストはかかりますが、VIP気分を味わえればユーザーの満足度もアップし、リピート率アップとしても有効に働いてくれるでしょう。
ファンを増やす
SNSなどで顧客との接点を増やしながら役立つ情報を日々配信していれば、ブランディングにもなり、ファンを増やす機会にもなります。
ゆとりがあれば自社アプリを開発、活用するのも有効です。
役立つ情報をもらったりお得な情報をゲットできたり、なにかしらの交流があれば、少なからず愛着をもってもらい、安心や信頼にもつながるはず。
商品やサービス、アフターフォローなどで気に入ってもらえば、口コミで拡散してもらえる可能性もあるでしょう。
休眠顧客の掘り起こし
休眠している既存客でも、再度購入してくれるチャンスが消えたわけではありません。
一旦他の商品を試したものの、比較したら前のほうが良かったからと、改めてリピートするユーザーも少なくありません。
休眠顧客を掘り起こすには、定期的なメールマガジンの配信なども効果的ですね。積極的なアプローチで、存在感を発揮していきましょう。
業界別!リピート率の平均・目安
業界別にリピート率の平均・目安を紹介します。
- アパレル・ファッション
- 食品
- 化粧品
- 健康食品
自社のリピート率が平均と比べてどうなのか、しっかり見ていきましょう。ちなみにEC業界全体の平均リピート率は30〜40%と言われています。
アパレル・ファッション
アパレル業界の平均リピート率は約35%前後と言われています。しかしアパレルの特性上、実店舗の有無やブランディングによってさらに高いリピート率を誇るケースもあります。
高いブランド力を持つアパレルEC事業者の場合、リピート率が50%を超えることもあるでしょう。ブランド力の向上に加えて、顧客との継続的なつながりをSNSなどを活用して築き、メールやLINEなどのプッシュ型通知を駆使することが、リピート率を向上させるための重要な要素となります。
食品
食品業界の平均リピート率は40%前後と言われています。単価が低く衝動買いしやすいことや、商品展開が幅広いことがリピート率につながります。
しかし食品業界は新商品の導入が頻繁に行われるため、既存の商品に比べてリピート率が低くなることもあるでしょう。とくに冷蔵品や冷凍は、合計金額に対する送料の比率が高くなる傾向があるため、高い満足度を与えられなければリピートに繋がりません。
顧客が衝動的な購買行動を取ることが多い傾向があるため、メールやLINEなどのプッシュ通知で常に自社商品を忘れられないようにする施策を心がけましょう。
化粧品
化粧品の場合、リピート率は約50%前後と報告されており、この数字はEC業界全体の平均よりも高い水準に位置しています。
この高いリピート率は、化粧品が直接肌に触れるため、一度気に入ったブランドからの切り替えが難しいという要因に起因しています。
そのため、購入者が商品の魅力やブランドの価値観を理解し、気に入ってもらうためのメッセージ配信(例: ステップメールやダイレクトメッセージなどのプッシュ通知)が非常に重要です。
健康食品
健康食品についても、化粧品とほぼ同等の数字が報告されており、平均リピート率は約50%前後と言われています。
健康食品は即効性のある薬とは異なり、効果を実感するまで一定期間を要するため、多くの顧客が継続的に摂取し、結果を待つ傾向があります。 このため健康食品のリピート率は、EC業界全体の平均よりも高い水準にあります。
また化粧品と同様に、健康食品も単品でのリピート通販の特性があり、初回の試用購入から定期購入に移行する「2ステップ」のアプローチと、初回から定期購入を選択するアプローチのどちらを採用するかによって、リピート率が大きく変わります。
リピート率アップで事業を堅実に成長させよう!
リピート率の計算式を紹介しました。リピーター率とは、計算方法も異なりますので、指標として算出する際はご注意を。
通販でリピートしてもらうためには、販売する商品のクオリティが高いことはもちろんですが、サイトの見やすさや利用のしやすさ、誘導の仕方も大事な要素となります。
決済や配送、購入後のサポート体制やリピーター向けの特典なども大きく影響するでしょう。
EC事業で収益を上げるための施策では、各種データの分析・改善を正しく繰り返すことが大事です。自社で検討した改善策を試してもうまく成果につながらない場合は、迷わずECサイト運用のプロにご相談ください。
これまでの実績・経験で得たマーケティングノウハウで、収益向上をパワフルにサポートします。
コラム:リピート率とリピーター率との違いは?
リピート率の計算方法について解説しましたが、名前がよく似た指標に「リピーター率」があります。
呼び名は似ていますが内容は全く異なるので、それぞれの意味を把握しておきましょう。
リピート率の計算式は「リピート率 = リピートした顧客の数 ÷ 累計の全顧客数 × 100」です。
一方、リピーター率の計算式は、
リピート率では分母が「EC事業スタート時からの累計の全顧客数」であるのに対して、リピーター率の計算では、分母が「リピートした顧客数(分子)と同じ期間の全顧客数」になるのです。
リピート率は累計の全顧客のうち、リピート購入した顧客の割合を知るための指標です。
全顧客のうち、リピートしてくれる顧客が増えれば増えるほど、リピート率の数値は高くなり、収益・経営も安定します。
例えば前月のリピート率と今月のリピート率を比較して、リピート率アップのために行った施策が効果を発揮しているかどうか、などを確認できるわけです。
一方、リピーター率は、一定期間内の顧客数のうち、リピート購入した顧客数の割合を知るための指標になります。
リピーター率はバランスを見る指標なので、数値が高いか低いかでの判断はできません。
リピーター率が高いということは、新規客の割合が少ないということ。新規客の獲得が伸びていないのですから、企業として喜ばしいことではありません。
新規客の割合が高くてリピーターの割合が少ないのも、多くの方が買ってくれているのにリピートしてもらえていないわけですから、企業としては問題視すべきバランスでしょう。
リピート率は高い数値を目指しますが、リピーター率は、新規客とリピーターとのバランスが取れているかどうかが大事なのです。
リピーターを増やす施策をする際は、リピート率を上昇させることを目標としましょう。
ECサイトの数値改善には、様々なデータの分析が欠かせません。どの数値を見てどう改善すればいいのか悩みを抱えているのであれば、EC事業者のサイト運用をサポートするプロに相談する選択肢もあります。
自社で問題解消できないケースを放置しても数値の改善は見込めませんが、適切に問題に対処すれば数値アップも目指せます。