できるだけ低コストで新規のECサイトを作りたい場合、無料で利用できるWordPressが候補として挙げられます。
ただし、WordPressは一般的なホームページやブログでの利用が多く、ECサイト構築が可能なのかも気になるところでしょう。
結論からいえば、WordPressでのECサイト構築は可能です。
ただし、WordPressによるECサイト構築にはデメリットや注意点もあります。
このページでは、ECサイトとして運用するためにはどのような機能が必要なのか、というところから、WordPressでECサイトを構築する方法とメリットやデメリット、効率的な運用方法まで詳しくわかりやすく紹介します。
ECサイトを効率的に運用するために、どんなシステムを利用するのか、その判断材料としてご活用ください。
WordPressのECサイト構築に必須の機能
WordPressは、ホームページやブログ作成を簡単に作成できるように無料で提供されている「CMS(コンテンツマネジメントシステム)」です。
WordPressを活用すれば、プログラミングの深い知識がなくても、サイトの構築ができます。
ですが、ECサイトとなるとどうでしょうか。
ECサイトでは、商品を画面上に並べて、顧客が購入する商品をカートに入れ、決済完了まで行う必要があります。
そのために必須となるのが、以下のような機能です。
- 商品の陳列
- カート機能
- 決済機能
商品の陳列表示だけであればWordPressでの作成も可能ですが、カート機能や決済機能を追加するには、何かしらのカスタマイズが必要となってきます。
では、ECサイトに必須のカート機能や決済機能をどのように導入するのか、具体的な方法について見ていきましょう。
WordPressでECサイトを構築する方法・作り方
WordPressで作成したWebサイトに、ECサイト運用に必須の機能をプラスするには、以下の2つの選択肢があります。
- ECサイト用のWordPressプラグインを活用する
- WordPressを外部のECシステムと連携させる
それぞれ詳しく解説します。
ECサイト用のプラグインを活用する
WordPressをECサイト化するための、便利なプラグインがあります。
プラグインとは、拡張機能のこと。プラグインをインストールして追加するだけで、WordPressの機能拡張が可能となります。
WordPressのECサイト化でよく利用されるプラグインは、以下の2つです。
- Welcart(ウェルカート)
- Woocommerce(ウーコマース)
Welcart(ウェルカート)
「Welcart」は、2009年にリリースされた日本初のWordPress専用ショッピングカートで、国内ECプラグインシェア1位の実績を誇ります。
初期費用や月額料金不要、決済手数料のみの負担で利用可能。
WordPressでページを作成するには、サイト全体のテンプレートとなる「テーマ」が必要なのですが、Welcartで無料テーマや有料テーマも提供しています。
ECサイト内での決済方法としては、様々なペイメントサービスとの契約が可能で、クレジットカードはもちろん、各種電子決済、コンビニ払い等にも対応できます。
Woocommerce(ウーコマース)
Woocommerceは海外製のプラグインで、世界中で利用されています。日本語にも対応しており、日本国内でも人気のある無料プラグインです。
テーマ(WordPressのサイトテンプレート)は、無料のもの、有料のものが提供されています。
Woocommerceで利用できる決済方法はクレジットカードがメインになりますが、各種決済サービスとの契約で支払い手段を追加することも可能です。
外部のECシステムと連携する
WordPressと外部のECシステムを連携して、ECサイトを構築することも可能です。
外部のECシステムとは、例えば以下のようなショッピングカートASPやCMSがあります。
- BASE
- STORES
- E-CUBE
- MakeShop
これらのECサイトに特化した機能を活用して、WordPressで構築したページと連携させ、1つのドメインで運用するのです。
WordPressでは集客を行い、ECサイトで商品を購入してもらうといった構築方法になります。
WordPressを使ったECサイトの事例
WordPressを使ったECサイトの事例を3つ紹介します。
- サンクワシシカカンパニー
- リビスコ
- 国産にこだわった木材の専門店「西粟倉・森の学校」
それぞれ3つのコンテンツはどれも制作目的が異なっているので、自社のECサイトを制作する際の参考になるでしょう。
鹿肉料理をお届け「サンクワシシカカンパニー」
サンクワシシカカンパニーは、鹿肉料理を専門として扱う料理屋さんです。販路拡大を目的としてWordPressでECサイトを開設しました。
システムはWooCommerceを利用しており、WordPressで構築したコーポレートサイトと同じドメイン内にECサイトを開設しています。
サンクワシシカカンパニーが導入している決済方法は、主要の5ブランドのクレジットカード決済に加えて、銀行振込と代金引換です。
決済方法の豊富さは、世界でも利用されている決済サービスのStripeを利用しているため、実現しています。決済方法の豊富さが、販路拡大に大きく影響しているようです。
おうちで楽しめるジェラート「リビスコ」
リビスコはジェラート専門店であり、店舗で販売しているジェラートを、ECサイトでオンライン販売をしています。
視覚的に楽しい印象を与えるべく、スライダーやバナーを設置しているのが特徴です。デザインを利用して店舗のコンセプトの表現も実現するのも良い方法ですね。
実店舗のアクセスマップやQRコードなども掲載しているため、実店舗への集客も増加傾向にあるそうです。
国産にこだわった木材の専門店「西粟倉森の学校」
国産材を使って自分で家具やスプーンを作れる西粟倉森の学校。コンテンツの特徴としては、木の使い方を喚起させることに特化したECサイトです。
世間的には出回っている商材とは言えないですが、サイト内は親しみやすいデザインに仕上がっています。
写真を多く使っているバナーやメニューボタンは、視認性が非常に高くサイトの離脱防止に繋がっています。
WordPressでECサイトを構築するメリット・デメリット
WordPressは基本的に、ECサイト構築専用として作られたシステムではありません。
そのためWordPressでECサイトを構築するにあたっては、デメリットも把握したうえで判断する必要があります。まずはメリットから、詳しくチェックしていきましょう。
WordPressでECサイトを構築するメリット
WordPressでECサイトを作成する大きなメリットは、以下のとおり。
- 無料で利用できる
- 無料テーマや無料プラグインも豊富
- カスタマイズの自由度が高い
- SEO効果を高められる
WordPressは、オープンソースで、誰でも無料で利用できます。
オープンソースとは、プログラミングのソースコードを誰でも無料で入手できるように一般公開されていることをいいます。
無料で利用できるうえに、テーマ(サイトテンプレート)やプラグイン(拡張機能)も無料のものが多数あり、コストを抑えてのサイト運用が可能。サイトデザイン等のカスタマイズも自由に行えるのが魅力でしょう。
有料のテーマやプラグインを導入すれば、さらに有益なカスタマイズを行うことも可能です。
WordPressは利用者が多いので、使い方でわからないときも、検索すれば多くの情報をチェックできます。
WordPressはSEO効果を向上させる機能が充実しているため、検索順位をアップさせるという面でもメリットがあります。顧客に役立つ情報でブログ記事を増やし、検索からの集客を増やすコンテンツマーケティングの活用にもぴったりです。
WordPressでECサイトを構築するデメリット
WordPressでECサイトを構築するには、デメリットもあります。
- ECサイト専用ではない
- サイト閲覧速度低下の可能性
- セキュリティ面の不安がある
- 決済方法の選択肢が限られる
- カスタマイズには知識が必要
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ECサイト専用ではない
先述のとおり、WordPressはECサイト構築専用のシステムではありません。
自社のWordPressサイトをECサイト化するには、プラグインやECシステムとの連携が必須となります。
サイト閲覧速度低下の可能性
WordPressには、プラグインで様々な機能を手間なく簡単に搭載できますが、複数のプラグイン導入で、サイトの動きが重くなることもあります。
サイトの表示スピードが遅くなればページが開く前に離脱される可能性もあるので、プラグインばかりに頼るのは避けたいところです。
セキュリティ面の不安がある
WordPress等のオープンソースは、ソースコードが全てWeb上で公開されており、悪意あるユーザーからの攻撃を受けやすいのが大きなデメリットになります。
実際にWordPressの改ざん等のトラブル事例もあり、セキュリティ面でのリスク対策が欠かせません。
ECサイトは個人情報の登録や決済手続きなどを行うため、セキュリティに不安があるというのは致命的です。
WordPressにプラグインを導入してEC化を実現するのは簡単ですが、セキュリティ面でも充実しているECシステムとの連携のほうが、より安心感があるでしょう。
情報発信の部分はWordPressでSEO効果を向上させ、カート機能や決済機能については、セキュリティ対策も充実したECシステムを活用する方法がおすすめです。
同時に安全性を高めるため、サーバーを分離しての運用も検討しましょう。
決済方法の選択肢が限られる
WordPressをプラグインでEC化する場合は、プラグインによって決済方法の選択肢が限定されることがあります。
ECサイトでは、自分の使いたい決済方法がなかった場合、約60%のユーザーがそのネットショップでの購入を諦めるというデータがあります。
自社サイトでの決済方法が不足しているために、カートに入れた商品の決済まで進んでもらえないとなれば、ECサイトとして大きな損失となります。
各種決済方法に対応できるサイト構築を目指すのであれば、ECサイト構築に特化したサービスを利用するのがベストな選択になるでしょう。
カスタマイズには知識が必要
WordPressは使い方を覚えれば簡単なのですが、知識や操作経験のないユーザーが1からサイト構築するとなると、ハードルはやや高め。サイトづくりの初心者向けというよりは、中級者、上級者向けです。
ドメイン(URL)を取得し、サイトのテーマ(テンプレート)を選択、ECサイトのデザインから構築していかなければなりません。
画像を準備したり、商品をアピールするための文章を考えたりするのはもちろん、ユーザーが見やすくわかりやすいページを構築する必要があるのです。
最初は販売ページ1つ作るだけでも、大変な手間がかかるでしょう。
さらにページをカスタマイズしていくとなれば、ある程度HTMLやCSSの知識が必要です。
こうした知識をもつスタッフがいない場合は、ECモールやショッピングカートASPの運用を検討するか、もしくはECサイト運用代行会社等に依頼しましょう。
WordPressのECサイト構築でよくある質問
WordPressのECサイト構築でよくある質問を紹介していきます。
- WordPressのECサイト構築にかかる費用は?
- WordPressのECサイト構築でおすすめの決済方法は?
- 既存のECサイトをWordPress化するには?
- WordPressのECサイトにおすすめのテーマは?
よくある質問の内容が気になる方は、しっかり事前に理解して分からないことがないようにしましょう。
WordPressのECサイト構築にかかる費用は?
WordPressは無料で利用できるので、ECサイト構築にかかる費用はありません。WordPressで全ての制作を自分で行う場合は、無料のプラグインを使用すれば無料でECサイトを構築できます。
ただ、Word Press以外で費用がかかることもあるので注意が必要です。WordPressを開設するためにはサーバーが必要になり、サーバー代が毎月数百円〜数千円かかります。
外部にECサイト制作を発注すれば数十万かかることを考えれば、費用が多少かかるものの大きくコストを削減することはできます。
WordPressのECサイト構築でおすすめの決済方法は?
WordPressでECサイトを構築した場合は、ECシステムが提供する決済方法で行います。決済方法はクレジットカード決済が基本です。
コンビニでの決済や後払いに対応しているかどうかはECシステムを確認しましょう。ただし、ECサイトの売上を伸ばすことも視野に入れれば10代をターゲットにすることも少なくないです。
10代はクレジットカードを持っていないので、コンビニ決済やキャリア決済なども考えることが大切になるでしょう。
既存のECサイトをWordPress化するには?
運営していたサイトをWordPress化するには、WordPressをサーバーに設定します。好きなテーマを選択し、そのテーマに合わせて全体のデザインをECサイトのイメージに調整・変更していく方法です。
この場合、従来運営していた既存サイトと全く同じサイトデザインにはなりませんが、WordPressのメリットを最大限に発揮するのはベストと言えるでしょう。
WordPressの最大のメリットは、知識がなくても簡単にデザインの修正できるところですので、管理画面から使いやすいテーマを選んで、そのテーマの中でHTMLをWordPressに載せ替えるという方法が良いでしょう。
WordPressのECサイトにおすすめのテーマは?
WordPressでECサイトにおすすめのテーマは以下の5つです。
- Fukasawa
- Proteo
- Market
- Sporta
- Dazzing
おすすめのテーマを5つ紹介しましたが、自分のECサイトにマッチしたテーマを選ぶことが大切です。
おすすめのテーマの中の選び方
おすすめのテーマを選ぶ際は以下の5つのポイントをみて決めて行くのが良いでしょう。
- ユーザビリティ
- 機能性
- カスタマイズ性
- ユーザー・情報が多い
- 商品とイメージの相性
ユーザーは何より使いやすいサービスを好む傾向にあります。サービスの使い勝手が悪いとユーザーのリピートも期待できません。ユーザー第一に考えながら、カスタマイズのしやすさや情報量などをみながら決めていくと良いでしょう。
WordPressでのECサイト構築は可能だが注意点もある
WordPressでのECサイト制作は可能ですが、オープンソースであり、セキュリティ面には不安があります。
そのためWordPressで個人情報を獲得、管理したり、カート機能を入れたりする方法はあまりおすすめしません。
万が一個人情報や決済情報の流出被害等のトラブルが発生すれば、企業としての信頼も失墜します。
ECシステムと連携したり、ECサイト特化のサービスを活用して、大切な顧客情報を守りながら、安心運営で売上アップを目指しましょう。